メキシコ議会上院、改正労基法案を可決、週48時間労働から40時間に短縮
法案は段階的な実施を想定し、2027年1月から2時間ずつ週労働時間を短縮し、2030年までに40時間制を実現する計画だ。
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メキシコ議会上院は11日、法定週労働時間を現行の48時間から40時間に短縮する改正労働基準法案を賛成多数で可決した。上院本会議では全議員121人が法案を支持、反対票はなかった。これにより法案は下院に送られ、最終審議・採決に進むこととなる。この法案は労働時間を大幅に短縮し、効率性を上げるという政府の公約に基づいている。
この法案はシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領が掲げる労働改革の核心部分であり、昨年12月に議会に提出されていた。法案は段階的な実施を想定し、2027年1月から2時間ずつ週労働時間を短縮し、2030年までに40時間制を実現する計画だ。この改革は約1340万人の労働者に影響を及ぼす見込みである。
政府側はこの時間短縮策について、労働環境の改善につながると強調している。現行の48時間労働は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も長く、年間平均2226時間に達しているという統計もある。
しかし、今回の法案には批判的な声もある。野党や労働組合の一部は、提案内容が「骨抜き」だと懸念を示してきた。労組らは改革が法定上の労働時間を形式的に引き下げる一方で、実際の労働負担の軽減につながらない可能性があると指摘している。具体的には、労働現場での裁量労働制や例外規定が残ることで、サービス残業を含む長時間労働への懸念があると主張している。
この動きは、メキシコ社会における長年の労働時間に関する議論の延長線上にある。メキシコはOECD加盟各国の中でも労働時間が極めて長い一方で、労働生産性や平均賃金が相対的に低いという特徴を持つ。そのため、労働時間短縮は労働者の健康や福祉向上の観点から支持する声も根強いが、企業側からは生産性や競争力への影響を懸念する意見も出されていた。
法案は上院を通過、今後下院での審議が始まる。与党・国家再生運動(MORENA)は下院でも過半数を保持しているため、否決される可能性は低い。労働条件の実質的な改善に向けた修正や追加条項の採用を求める声が審議過程でどの程度反映されるかは不透明である。
政府は法案が成立した場合、5月1日を目途に新たな仕組みを施行する意向を示している。この日付はメーデー(国際労働者の日)に当たり、労働者政策の象徴的な開始日と位置づけられている。メキシコ社会では引き続き労働条件の改善と経済競争力の両立に関する議論が続く見込みである。
