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メキシコ、米国産天然ガス依存解消目指す、フラッキング容認へ


メキシコは現在、国内で消費する天然ガスの大部分を米国から輸入、世界最大の米国産ガスの輸入国となっている。
2025年1月27日/メキシコ、首都メキシコシティ、シェインバウム大統領(ロイター通信)

メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は8日、米国からの天然ガス輸入への依存を減らすため、非在来型ガス資源の開発を検討する方針を明らかにした。背景には中東情勢の緊張などによる世界的なエネルギー市場の不安定化があり、エネルギー安全保障の強化が急務となっている。

メキシコは現在、国内で消費する天然ガスの大部分を米国から輸入、世界最大の米国産ガスの輸入国となっている。国内の発電や産業活動はこの輸入に大きく依存し、供給途絶や価格変動の影響を受けやすい構造にある。シェインバウム氏は定例会見で、欧州がロシア産ガスに依存して危機に直面した事例などを引き合いに、自国のエネルギー主権を高める必要性を強調した。

今回の方針の焦点は「フラッキング(水圧破砕法)」と呼ばれる手法を含む非在来型資源の開発にあるが、シェインバウム氏はこの用語の使用を避け、「持続可能な採掘」と表現している。これは環境負荷への懸念が強い技術であるため、化学物質の使用削減や再利用水の活用など、より環境に配慮した手法の可能性を探るとしている。政府は専門家による技術委員会を設置し、2カ月ほどかけて実現可能性やコストを検証する予定である。

もっとも、この取り組みは議論を呼ぶことが予想される。シェインバウム氏は気候変動の専門家として再生可能エネルギーの拡大を掲げてきたが、一方で国営石油会社ぺメックス(PEMEX)の支援や化石燃料の活用継続も明言している。電力需要の増大に対応するためには天然ガスが依然として不可欠であり、再生可能エネルギーだけで短期的に代替することは困難との認識を示してきた。

さらに、メキシコでは米国から輸入したガスを国内で消費するだけでなく、将来的にアジアや欧州へ再輸出するハブとしての役割も視野に入れたインフラ整備が進んでいる。このため、輸入依存を減らしつつも、国際エネルギー市場における戦略的地位を高めるという複雑な政策目標が存在する。

今回の方針は環境保護とエネルギー安全保障という相反しがちな課題の間でバランスを取ろうとする試みである。持続可能性を掲げた新たな資源開発が実際に環境負荷を抑えられるのか、また国内生産の拡大がどこまで輸入依存の低減につながるのかが今後の焦点となる。

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