SHARE:

メキシコ26年3月インフレ率4.59%、中東情勢悪化で物価高騰


インフレと景気減速という相反する要因のはざまで、メキシコ中銀のかじ取りは一段と難しさを増している。
2026年1月22日/メキシコ、モンテレイの食料品店(ロイター通信)

メキシコの2026年3月の消費者物価指数(CPI)が急上昇し、中央銀行の政策判断をめぐる対立が鮮明となっている。国家統計局INEGIが9日に発表したデータによると、3月のインフレ率は前年同月比で4.59%増、前月の4.02%を大きく上回り、2024年10月以来の高水準となった。

この結果は中銀(Banxico)が3月26日の金融政策決定会合で示した判断の難しさを裏付けるものとなった。同会合では政策金利を0.25ポイント引き下げて6.75%とする決定が下されたが、5人の理事のうち2人が反対していた。ロドリゲス(Victoria Rodríguez Ceja)総裁ら3人が利下げを支持した一方、ヒース(Jonathan Heath)副総裁ら2人が反対に回り、インフレ再燃のリスクを強く警戒した。

反対派は特に地政学リスクの高まりに注目している。中東情勢の緊張激化により原油価格が上昇し、金融市場の変動性も増していることから、今後インフレ圧力がさらに強まる可能性があると指摘する。ヒース氏はインフレが依然として目標を上回る中での利下げは「中銀の信認を損なう恐れがある」として、より慎重な対応を求めていた。

一方、利下げを支持した多数派は国内経済の低迷を重視する立場を取る。メキシコ経済は成長が鈍化しており、需要の弱さがインフレ圧力を吸収する緩衝材になると判断した。また、変動の大きい食品やエネルギーを除くコアインフレ率は4.45%へとやや低下し、基調的な物価圧力は落ち着きつつあるとの見方も示された。

実際、ロイター通信の調査でもインフレ率は上昇傾向にある一方で、コアインフレは緩やかに低下していると予測され、政策判断を一層複雑にしている。中銀の目標は3%±1ポイントで、依然として上限を上回る水準にある。

今後の金融政策については、市場でも見方が分かれている。インフレ再加速を受けて利下げ停止の可能性が意識される一方、景気下支えの必要性から追加利下げ余地を指摘する声もある。次回の政策決定会合は5月7日の予定。今後の物価動向や国際情勢を見極めながら判断を迫られる見通しである。

インフレと景気減速という相反する要因のはざまで、メキシコ中銀のかじ取りは一段と難しさを増している。今回の物価上昇は一時的なものにとどまるのか、それとも新たなインフレ局面の兆しか。政策委員会の分裂はその不確実性の大きさを象徴している。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします