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メキシコ・カルテル首領殺害、治安悪化で高飛び込みのワールドカップが中止に

今回中止となったのは国際大会として世界各国の高飛び込み選手が出場する大会のひとつであり、中国・北京で5月1~3日に予定されているスーパー・ファイナルの出場権にも影響を与える可能性がある。
2026年2月22日/メキシコ、西部ハリスコ州(ロイター通信)

国際水泳連盟(FINA)は26日、メキシコ西部ハリスコ州サポパンで3月5~8日に開催予定だった高飛び込みのワールドカップを安全面の懸念から中止すると発表した。FINAは声明で「徹底的なリスク評価を踏まえた結果、現時点の状況では選手や関係者の安全を確保できない」と説明した。開催地の自治体や地元連盟とも協議したうえでの決定だという。開催中止についてメキシコ当局はコメントを出していない。

今回中止となったのは国際大会として世界各国の高飛び込み選手が出場する大会のひとつであり、中国・北京で5月1~3日に予定されているスーパー・ファイナルの出場権にも影響を与える可能性がある。FINAはモントリオール大会(2月28日~3月1日)の結果をもって北京大会の出場資格を決定するとしている。

大会中止の背景にはハリスコ州を中心とする治安の急激な悪化がある。メキシコ軍は先週、麻薬カルテル「ハリスコ新世代(CJNG)」の首領ネメシオ・オセゲラ・セルバンテス(通称エル・メンチョ)容疑者を殺害。これを受け、CJNGの構成員が暴力的な報復措置に出た。高速道路の封鎖や車両の放火などが各地で発生し、少なくとも70人以上が死傷したとされる。暴力はハリスコ州だけでなく近隣州に拡大し、一般市民の生活にも大きな影響を与えている。

サポパンは州都グアダラハラに隣接する都市で、先月から治安当局による警備強化が続いていたものの、暴力事件や道路封鎖が相次ぎ、渡航制限や注意喚起が出される事態となっていた。国際的な指標でも治安状況が不安視され、イベント開催に関して懸念が高まっていた。

今回の中止はスポーツ界にとって大きな打撃となる。メキシコは近年、高飛び込みを含む水泳競技において世界的に存在感を高めており、パリ五輪や世界選手権でのメダル獲得者も輩出している。特にサポパン大会には国内外の有力選手が参加予定で、準備を進めていた選手団や関係者からは失望の声が上がっている。

一方、メキシコ政府は治安回復の努力を続けている。シェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は記者会見で「事態は徐々に正常化している」と述べ、国民や観光客に対して冷静な対応を呼び掛けている。また、州内の空港は通常運航に戻りつつあると発表されているが、現地では依然として不安が残る状況だ。

今回のワールドカップ中止を受け、スポーツ界ではメキシコ国内外のイベントや2026FIFAワールドカップ(6月開催)への影響を懸念する声も出ている。

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