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メキシコ中央銀行が利下げ、政策金利7.00%、インフレ予測引き上げも

今回の利下げは市場の予想通りであったが、理事会の判断は一致せず、ヒース副総裁が反対票(据え置き)を投じた。
メキシコ、首都メキシコシティ、中央銀行本店(Getty Images/AFP通信)

メキシコ中央銀行は18日、政策金利を0.25ポイント引き下げ、7.00%に設定すると発表した。これは2022年5月以来の低水準であり、金融緩和を進める姿勢を示すとともに、インフレ見通しを上方修正した形だ。

今回の利下げは市場の予想通りであったが、理事会の判断は一致せず、ヒース(Jonathan Heath)副総裁が反対票(据え置き)を投じた。

中銀は声明で、インフレが中期的に目標水準に戻るとの見通しを維持しつつも、短期的なリスクが高まっていると指摘した。

またインフレの予測については、2025年第4四半期(10~12月)および2026年前半の予想値を引き上げ、サービス分野のインフレが予想よりも緩やかに低下していることが主な要因であると説明した。

それでも中銀は、インフレ率が2026年第3四半期(7~9月)までに3.0%の目標に収束すると予想しており、この予想の維持が今回の利下げ決定につながったとみられる。

声明では、今後の政策判断についても引き続きデータに基づく検討を行い、経済情勢やインフレ動向に応じてタイミングを見極める姿勢を示した。

今回の利下げは2024年から続く金融緩和サイクルの一環と位置づけられる。このサイクルでは、中銀がインフレ率の低下と経済活動の弱さを踏まえ、段階的に政策金利を引き下げてきた。多くのエコノミストは利下げが経済成長を下支えする一方で、インフレ圧力に対する警戒感が依然存在すると分析している。

メキシコ経済は近年、世界的な景気減速や米国との貿易摩擦といった逆風の影響を受け、成長が鈍化している。GDPは弱含みとなっており、経済活動の回復には時間がかかるとの見方がある。このため、中銀による利下げには企業や消費者の支援を図る狙いもあるとみられる。

一方で、インフレが予想を上回る動きを見せていることから、金融政策当局内には慎重論も根強い。ヒース氏が今回据え置きを主張した背景には、基調インフレの粘り強さやインフレ目標達成に向けた不確実性があるとされる。こうした意見の分かれは、今後の政策運営にも影響を及ぼし得る。

市場では、今回の利下げを受けて今後の政策動向を巡る議論が活発化している。経済指標の動き次第では、2026年前半に追加の利下げがあるとの見方もある一方で、インフレリスクが強まれば利下げペースの鈍化や一時停止が検討される可能性も指摘されている。中銀が引き続きどのような政策スタンスを打ち出すかが注目される局面である。

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