メキシコ2025年殺人件数減少、政府が発表、懐疑的な意見も
2025年の殺人認知件数は人口10万人当たり17.5件で、2016年以来の低水準となった。
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メキシコ政府は8日、2025年の殺人率が大幅に低下したと発表し、治安戦略が一定の成果を挙げていると強調した。ただし、治安情勢の専門家やアナリストは、統計・数値の解釈に慎重な姿勢を示している。シェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は8日の定例会見で成果を強調した。
統計によると、2025年の殺人認知件数は人口10万人当たり17.5件で、2016年以来の低水準となった。これは2018年の29件と比べても大幅な減少であり、シェインバウム政権発足後の2024年9月から2025年12月までにおよそ40%の減少がみられたという。今回の数字は「1日あたり34件の殺人が減少した」ことに相当する。
シェインバウム氏はこの減少について、治安機関と司法、検察、そして州知事らとの協力体制に基づく戦略の成果だと強調した。また、以前の「抱擁でなく銃弾」政策から、情報重視や機関間の連携強化へと方針転換したことが功を奏しているとした。
しかし、政府の発表に対しては、アナリストらから慎重な見方が示されている。政府が示した数値はまだ最終確定していない予備データに基づくものであり、国家統計局INEGIなどによる正式な集計はこれからである。また、行方不明者数が13万人を超えるという深刻な状況が、殺人事件の一部が適切に分類・報告されていない可能性や、麻薬カルテルの勢力再編によって抗争が表面化していないだけという指摘もある。こうした点から、単純に「治安が改善した」と結論付けるのは時期尚早との意見が出ている。
特にシナロア、ミチョアカン、ハリスコ、グアナフアトなど主要州ではカルテル関連の暴力が高水準にあるとされ、地域によっては治安情勢が依然として深刻なままであるとの見方もある。
専門家らは、殺人率の統計が下がっている背景には犯罪組織同士の勢力調整やデータ収集方法の変化なども影響している可能性を指摘し、長期的な傾向や他の犯罪指標も含めて総合的に評価する必要があると強調している。
メキシコ政府は今回の発表を治安政策の成果として国内外に示す一方で、さらなる治安改善策の強化や正確なデータ公表の重要性を認識し、引き続き対応を進める構えだ。政府は統計の最終版がまとまり次第、詳細を公表するとしている。
