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メキシコ公取、格安航空会社ボラリスとビバアエロブスの提携審査へ

メキシコの航空市場は近年、格安航空会社(LCC)の成長と競争激化が特徴で、特に両社が国内線の約70%近くを供給するに至っているとされる。
2025年3月18日/メキシコ、首都メキシコシティ、シェインバウム大統領(AP通信)

メキシコの公正取引委員会である連邦経済競争委員会(COFECE)は22日、国内の主要格安航空会社であるVolaris(ボラリス)とViva Aerobus(ビバアエロブス)による統合案について審査を行う方針を明らかにした。

この動きは両社が合意した提携構想が国内航空市場の競争に与える影響を詳しく検討するためであり、業界関係者や消費者、規制当局の注目を集めている。

ボラリスとビバアエロブスは今月、合併に向けた基本合意に達したと発表した。この計画は両社がそれぞれ独立したブランドを維持しつつ、共同持株会社の下で統合的に事業運営を進める「対等合併」 の形を取るもので、2026年の完了を目指している。合併が実現すれば、両社は国内航空市場の大部分を占める巨大な低コスト航空企業グループとなる見込みだ。

シェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領はこの統合案を歓迎し、「メキシコ航空業界の発展にとって前向きな進展だ」と支持の意向を示した。またシェインバウム氏は投資拡大や航空産業の成長、観光促進、国内外の航空会社との競争激化への寄与を期待すると述べた。

ただし、この統合案には競争法上の重大な課題があり、COFECEによる審査が不可欠となっている。両社は国内の低コスト航空市場で市場シェアが高く、連携が実現すれば市場集中度の急激な上昇や価格競争の減少、消費者の選択肢縮小などが懸念されている。業界データによると、両社は国内旅客輸送の大部分を占めており、合併後は市場の7割近いシェアを有するとの予測もある。

メキシコの航空市場は近年、格安航空会社(LCC)の成長と競争激化が特徴で、特に両社が国内線の約70%近くを供給するに至っているとされる。これに対し、大手航空会社Aeroméxico(アエロメヒコ)は国際線中心の運航体制を維持しながらも、国内市場での競争力強化を図っている。両社の統合が実現すれば、LCC同士による競争構造の再編が不可避となる。

規制当局による審査では、独禁法に基づく競争制限性の有無や消費者利益への影響、価格形成メカニズムの変化などが焦点となる見込みだ。COFECEはこれまでにも複数の産業分野で競争政策を適用しており、技術的審査や市場分析を経て統合案の承認・条件付承認・却下のいずれかの判断を下すとみられている。

一方、両社の発表によると、統合後もそれぞれのブランド、運航証明、運行路線を維持する計画で、利用者向けのサービスや料金体系について即時の大きな変更は見込まれていないという。ただし、統合効果として運航効率の向上、機材調達コストの抑制、ネットワーク拡充による利便性向上などが期待されており、業界内からは合理化効果への期待も示されている。

今回の統合案の審査は数カ月にわたって行われる見通しで、メキシコの航空市場の競争環境や消費者選択への影響などを巡る議論が一段と活発化するとみられている

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