米メキシコ水条約、年間最低水量を確保することで合意
この合意は水資源の安定的な分配を巡る長年の懸案を巡って両国が協議を重ねた末の成果であり、農業や地域社会への影響が大きい問題として注目されている。
とトランプ米大統領(Getty-Images)-2.jpg)
メキシコと米国は3日、国境をまたぐ水の供給に関して新たな合意に達し、メキシコが米国に対して年間最低水量を確実に供給する仕組みを導入することで合意したと発表した。この合意は水資源の安定的な分配を巡る長年の懸案を巡って両国が協議を重ねた末の成果であり、農業や地域社会への影響が大きい問題として注目されている。
合意の核心は1944年の米墨間の水共有条約(コロラド川協定)の運用方法の変更にある。同条約はリオグランデ川などを通じてメキシコが5年ごとに総量約2.16億立方メートルの水を米国に供給することを定めているが、年ごとの最低供給義務は規定していなかった。そのため過去の供給では、メキシコが初年に水の供給を遅らせる「水債務」が発生し、テキサス州などの米国南部の農業地域で水不足や作物への影響が問題視されていた。
今回の合意により、メキシコは現在の5年サイクルの各年に最低約4.3億立方メートルを米国に供給することを約束した。この数量は5年間の総量を年平均で配分するもので、合計義務量は変わらないものの、供給の予測可能性が高まることになる。米側はこの年次配分の確立で地域の農業や水利用計画に安定性がもたらされるとして歓迎している。
両国政府は合意について共同声明を発表し、メキシコ外務省、環境省、農務省が共同で「両国が合意した年間最低水量の供給を保証する用意がある」と表明した。ただし具体的な供給体制や履行の詳細については声明に明記されなかった。
この合意は数か月にわたる協議の末に成立したもので、その背景には米側の圧力も影響している。トランプ(Donald Trump)大統領は協議中、メキシコが水の供給を改善しない場合、メキシコからの輸入品に対して最大5%の関税を課す可能性を示唆していた。この発言は貿易交渉と水利用交渉を絡めた圧力として分析され、最終的な合意形成への一因となったと見られている。
一方で、この措置はメキシコ国内で敏感な問題となっている。北部州、特にテキサス州と国境を接するタマウリパス州では深刻な干ばつが続いており、農業用水の不足が深刻化している。農民の中には水不足で作物を植えられない事例も報告されており、国内の農業団体からは国際条約の履行と国内需要のバランスに懸念の声が上がっている。
今回の合意は、気候変動や長期的な干ばつの影響が深刻な地域における水資源管理の重要性を浮き彫りにし、米墨両国にとって共通の課題として水の安定供給と共有資源の管理が引き続き中心的な外交・経済課題となることを示している。
