◎軍兵士らは2014年9月26日、ゲレロ州イグアラ市内でバスを止め、学生と教師43人を拉致。地元の麻薬カルテルに引き渡したとされる。
メキシコ南部ゲレロ州で26日、10年前に発生した学生教師失踪事件の真相究明を求める集会が開かれ、行方不明者の家族や関係者が参加した。
事件の真実を明らかにすると約束したオブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領は9月30日に退任する。
オブラドール政権は真相究明委員会を設置し、この事件を「国家犯罪」と宣言した。しかし、軍部の協力が得られず捜査が行き詰まると、オブラドール氏は治安改善や経済政策に目を向け、この事件に触れなくなった。
軍兵士らは2014年9月26日、ゲレロ州イグアラ市内でバスを止め、学生と教師43人を拉致。地元の麻薬カルテルに引き渡したとされる。
捜査当局はこの事件に陸軍が組織的に関与したとみているが、学生と教師が標的になった理由は不明のままである。
当局はこの事件に関与したとして、現職の陸軍兵士ら少なくとも120人を逮捕している。
集会に参加した女性はAP通信の取材に対し、「大統領は軍指導部を守っているように見える」と嘆いた。
事件から10年、学生たちに何が起こったのか、生きているのか、どこにいるのか、ほとんど何も分かっていない。
検察庁の元検事総長はこの事件に関する虚偽のシナリオを承認したとして起訴されている。
メキシコはシリアやアフガンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつであり、麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人、それに巻き込まれて行方不明になった人は11万5000人以上と推定されている。