◎メキシコはシリアやアフガンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつであり、麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人、それに巻き込まれて行方不明になった人は11万5000人以上と推定されている。
メキシコ、北部タマウリパス州ヌエボラレド、銃撃戦が発生した通り(ロイター通信)

メキシコシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は15日、北東部タマウリパス州ヌエボラレドで8歳の少女を含む民間人3人が軍とギャングの銃撃戦に巻き込まれて死亡したことを認めた。

この銃撃戦は市中心部の通りで先週11日と12日に発生。女性とその娘である8歳の少女を含む少なくとも3人が巻き込まれて死亡した。

シェインバウム氏は定例記者会見で、「この銃撃戦で陸軍兵士1人、大人2人と8歳の少女が死亡した」と述べ、詳細は調査中であると明らかにした。

タマウリパス州はメキシコで最も危険な地域のひとつであり、麻薬組織「湾岸カルテル」から派生した複数のギャング、世界最大の麻薬組織「シナロア・カルテル」、その他カルテルが血生臭い縄張り争いを繰り広げている。

ヌエボラレドの人権団体によると、女性たちは陸軍のパトロール隊とカルテル戦闘員による銃撃戦に巻き込まれたという。

ヌエボラレドは長い間、悪名高い麻薬カルテル「ロス・セタス(Los Zetas)」の支配下に置かれ、現在はその分派であるギャングや別のカルテルが縄張り争いを続けている。

この女性の夫は地元テレビ局のインタビューで、「妻と娘は陸軍とカルテルの十字砲火に巻き込まれた」と涙ながらに語った。

シェインバウム氏は記者団に対し、「ギャングが軍用車両に向けて発砲し、銃撃戦になったと報告を受けている」と述べた。

またシェインバウム氏はヌエボラレドを「ウォーゾーン」と呼び、「陸軍と州兵が最も攻撃を受けている地域である」と強調した。

8歳の少女らは12日の銃撃戦に巻き込まれ死亡した。少女と祖母を乗せた車は近くの店に向かう途中、兵士とギャングのカーチェイスに巻き込まれ、逃げ場を失った。

生還した祖母は地元テレビ局の取材に対し、「装甲車とギャングのSUVの間に挟まれ、身動きが取れなくなった」と語った。

ヌエボラレドの人権団体によると、ギャングは現場から逃走。SUVの中には拷問を受けたとみられる若い男性の遺体が残されていたという。

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