メキシコ警察が武装兵4人射殺、グアテマラ領内で銃撃戦展開

チアパス州では複数の麻薬カルテルやギャングが麻薬密売や移民の売買をめぐり、10年以上前から血生臭い縄張り争いを繰り広げてきた。
メキシコ南部のグアテマラ国境近く(Getty Images/AFP通信)

メキシコ南部チアパス州のグアテマラ国境付近で銃撃戦があり、警察が4人の銃撃犯を射殺し、グアテマラ領内に逃げ込んだ武装兵を追撃した。両国の当局者が9日、明らかにした。

それによると、州警察はグアテマラ国境付近で4人の銃撃犯を射殺した後、3台の装甲車で別の容疑者を追跡し、メキシコ国境から数百メートル離れた地点にあるグアテマラ領内の町で銃撃戦を繰り広げたという。

ソーシャルメディアで共有された動画には防弾ベストを着用しライフルを携える武装した男たちが、チアパス州警察の装甲車に向かって発砲する様子が映っていた。これはグアテマラ領内で撮影されたものとみられる。

チアパス州では複数の麻薬カルテルやギャングが麻薬密売や移民の売買をめぐり、10年以上前から血生臭い縄張り争いを繰り広げてきた。

メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は9日の定例会見でこの事件について問われ、「メキシコ当局がグアテマラ領内に入ったことは明らかである」と述べた。

またシェインバウム氏は「警察庁が事件の経緯を調べている」と述べ、「捜査官たちがグアテマラに入ったのは間違いである」と強調した。

グアテマラ大統領府は声明を出し、「メキシコ当局とこの事件について協議している」と述べた。

現地メディアによると、両国の国境付近では過去2年間、世界最大の麻薬組織シナロア・カルテルとハリスコ新世代よる激しい縄張り争いが繰り広げられてきたという。

昨年にはメキシコ国境の町で銃撃戦が勃発。数百人の市民がグアテマラ領内に逃げ込んだ。

メキシコはシリアやアフガンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつであり、麻薬戦争の犠牲者は35万~40万人、それに巻き込まれて行方不明になった人は12万人以上と推定されている。

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