メキシコ海軍中将、燃料窃盗容疑で逮捕=報道
メキシコでは燃料や石油製品の窃盗が多発している。その背景には、複合的な要因がある。
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メキシコ北部で今年3月に発生した大規模な燃料押収事件に関連し、メキシコ海軍の中将が複数の企業幹部や政府高官とともに逮捕された。現地メディアが6日に報じた。
捜査当局は3月、北部の港で1000万リットルのディーゼル燃料、ガソリン、石油製品を積んだ船舶を差し押さえた。
AP通信は情報筋の話しとして、「海軍の中将と複数の企業の幹部、州政府の高官がこの窃盗に関与したとして逮捕された」と伝えている。
メキシコ海軍と中央政府はこの逮捕に関するコメントを出していない。
メキシコでは燃料や石油製品の窃盗が多発している。その背景には、複合的な要因がある。
第一に、国営石油会社ぺメックス(PEMEX)のインフラが広大かつ老朽化しており、パイプラインへの不正な穴開けによる「フアチコレオ」と呼ばれる盗取行為が横行している。
第二に、燃料価格の上昇と経済格差が窃盗を誘発し、盗まれた燃料は闇市場で安価に販売され、庶民にとっても生活コストを抑える手段となっている。
第三に、麻薬カルテルや犯罪組織がこのビジネスを掌握し、武力で地域を支配することで資金源を拡大している。さらに、治安部隊や政治家の腐敗が取り締まりを妨げ、摘発しても根絶できない状況が続く。
結果として燃料窃盗は国家の財政を圧迫し、治安悪化の要因となり、政府の統治能力に深刻な疑問を投げかけている。
地元メディアによると、ペメックスは過去5年間の燃料窃盗で38億ドル(約5588億円)もの損失を被ったという。
米当局は麻薬カルテルが盗んだ燃料を米国に密輸するため、メキシコの石油・ガス産業における仲介業者を利用していると警告している。