メキシコ大統領、キューバ人医師受け入れ協定を堅持
シェインバウム氏は定例会見でこの協定に言及。「メキシコに大きな利益をもたらしている」と強調した。
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メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は25日、キューバから派遣される医師団の受け入れ協定を今後も維持する方針を明らかにした。米国の圧力を受けて中南米諸国が相次いで同様の協力関係を解消する中、メキシコは例外的に継続を選択した形である。
シェインバウム氏は定例会見でこの協定に言及。「メキシコに大きな利益をもたらしている」と強調した。特に地方や農村部では専門医の不足が深刻であり、キューバ人医師が医療サービスの空白を埋める重要な役割を果たしているという。2022年以降、多数の医師が派遣され、国内医療体制の補完に寄与してきた。
一方、この派遣制度をめぐっては米国が強く批判している。トランプ政権はキューバ共産党による海外医療ミッションを「強制労働」に該当する可能性があると指摘し、各国に協定の見直しを迫っている。その結果、ホンジュラスやジャマイカ、ガイアナなど複数の国がすでに契約を打ち切り、地域全体で離脱の動きが広がっている。
こうした圧力にもかかわらず、メキシコが協定維持に踏み切る背景には、慢性的な医師不足という国内事情がある。とりわけ貧困地域では医療従事者の確保が難しく、キューバ人医師はコロナ禍でも重要な役割を担ってきた。政府はこうした実務的な効果を重視し、政治的圧力よりも国民の医療ニーズを優先した形だ。
また、メキシコとキューバの歴史的関係も影響している。両国は長年にわたり友好関係を維持し、近年もメキシコは様々な人道支援を提供してきた。一方で、米国はキューバに対する経済的圧力を強化し、石油供給や経済協力を行う国に対して関税などの制裁措置を示唆している。メキシコはこうした状況の中で、対米関係とキューバ支援の間で難しい舵取りを迫られている。
今回の決定は医療政策と外交戦略が交錯する中での独自路線を象徴するものといえる。中南米諸国が米国寄りの姿勢を強める中、メキシコがどこまで自立的な対キューバ政策を維持できるかが、今後の地域情勢を占う焦点となる。
