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メキシコ大統領、ベネズエラでの「流血」を避けるよう国連に要請

トランプ氏はベネズエラ政府を「外国テロ組織」と位置づけ、圧力を強化。これに対しベネズエラの独裁者であるマドゥロ大統領は強く反発している。
メキシコのシェインバウム大統領(左)とトランプ米大統領(Getty Images)

メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領は17日、国連に対しベネズエラ情勢に関して、「流血」を避けるための行動を取るよう求めた。

シェインバウム氏は定例会見でベネズエラ情勢に言及。国際社会が緊張の高まりに対して十分な対応をしていないと指摘し、国連が平和的解決の役割を果たすべきだと強調した。この訴えは米国とベネズエラの間で緊張が一段と高まっていることを背景にしている。

シェインバウム氏はベネズエラでの武力衝突や外国による干渉に反対する立場を改めて表明した。またシェインバウム氏は「意見の違いがあるとしても、国際紛争は避けなければならない」と述べ、国連が介入して平和的な解決を促進することの重要性を訴えた。

さらに、メキシコは直接的な軍事介入や紛争への関与を支持しない立場を取っていると述べ、外交努力を優先すべきだとの立場を示した。

この呼びかけはトランプ(Donald Trump)米大統領が16日にベネズエラに出入りする「制裁対象の石油タンカー」を摘発するよう命じたことを受けて出されたものである。

トランプ氏はベネズエラ政府を「外国テロ組織」と位置づけ、圧力を強化。これに対しベネズエラの独裁者であるマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は強く反発している。

米国が実施した措置は石油輸送を遮断することでベネズエラ経済に深刻な影響を及ぼす可能性があり、地域の安定に懸念を生じさせている。トランプ政権は麻薬密輸や人身売買、テロ摘発を理由として、カリブ海域に空母打撃群などを展開していると説明しているが、その行動はベネズエラ内外で対立を激化させている。

ベネズエラ側は米国の封鎖措置を「侵略的な行為」と非難し、国際法違反であると主張している。マドゥロ政権は自国の主権と資源を守るために断固として立ち向かう構えを示しており、国際社会に対しても支持を求めている。こうした状況は中南米地域の安全保障環境を不安定化させる要因として懸念されている。

国連も両国に対して自制を求める声明を出しており、エスカレーションを避けるための外交的努力を促している。ただし、現時点で国連による調停や制裁回避に向けた動きは明確ではない。地域専門家は米国とベネズエラ間の対立が続く中でメキシコの呼びかけがどの程度影響力を持つかについて慎重な見方を示している。

シェインバウム氏の訴えはベネズエラ情勢が国際社会の平和と安定にとって重大な課題となっていることを改めて浮き彫りにしており、今後の動向が注目される。国連や関係諸国がどのような具体的措置を取るかが地域の情勢を左右する重要なカギとなる見込みだ。

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