メキシコ政府が最低賃金13%引き上げ、日給2700円に
この賃上げは労働界、企業界、政府が合意のうえで決定されたもので、シェインバウム大統領が掲げる低所得層支援策の一環だ。
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メキシコ政府は3日、2026年に向けて最低賃金を13%引き上げると発表した。具体的には、1日あたりの最低賃金を315.04メキシコペソ(2675円)に改定する。
この賃上げは労働界、企業界、政府が合意のうえで決定されたもので、シェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領が掲げる低所得層支援策の一環だ。
シェインバウム氏は3日の定例会見で、財務省と中央銀行との協議を経て決定に至ったと説明。「インフレへの影響はない」と強調した。
この改定により、2018年以降で積み重ねられてきた最低賃金の累積上昇幅は約150%に達する。政府はここ数年の賃上げによって貧困率が大幅に低下したとの認識を示しており、今回の改定もその延長線上にあると位置づけている。
一方で、最賃引き上げと併せて、週の法定労働時間の見直しにも踏み切る方針を打ち出した。政府は2027年から段階的に週48時間労働を削減し、2030年までに週40時間労働へ移行する法案を議会に提出する予定だ。削減ペースは年に2時間ずつ。
メキシコでは長時間労働が一般的であったが、新たな制度が導入されれば、過労是正と労働環境の改善、加えて雇用機会の拡大が期待される。
ただし、この週40時間労働制への移行には慎重な見方もある。中小企業やサービス産業では労働時間短縮に伴うコスト増や業務の見直しが求められる可能性があるため、産業構造や企業の対応力が問われる。以前から導入に向けた議論はあったものの、国会での審議が遅れていたこともあり、今後の議論の行方が注目されている。
政府が今回、最低賃金引き上げと労働時間短縮という二本立ての大型労働改革を打ち出した背景には、「労働者の生活改善」と「貧困削減」、そして「雇用の安定化」を同時に実現したいという狙いがある。過去数年にわたって積み上げてきた賃金底上げ政策と併せて、今回の措置はメキシコ経済の構造変化や労働環境の改善を目指す大きな一歩となる。
