メキシコ西部ハリスコ州で麻しん(はしか)急拡大、警報発令
ハリスコ州では今年に入って1163人の麻しん感染が確認され、さらに2092人の疑い例が報告されている。
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メキシコ西部ハリスコ州の保健当局は5日、麻しん(はしか)の感染が急拡大しているとして警報を発出し、一部地域の学校でマスク着用を義務付ける措置を開始した。麻しんの広がりは同州の州都グアダラハラを含む地域を中心に深刻な状況となっており、米国・カナダと共催されるFIFAワールドカップの主要開催地として注目される都市での公衆衛生上の課題となっている。
保健当局によると、ハリスコ州では今年に入って1163人の麻しん感染が確認され、さらに2092人の疑い例が報告されている。メキシコ全体で当局が確認した感染者数は1981人、疑い例は5200人を超えている。麻しんはワクチンで予防可能な疾患であるにもかかわらず、予防接種率の低下と感染拡大が世界的に問題となっている。
今回の感染拡大は昨年北部チワワ州で発生したケースから始まった。あるキリスト教系コミュニティの子どもが米テキサス州を訪問中に感染し、帰国後にコミュニティ内で広がったことがきっかけとされる。このコミュニティではワクチン接種をためらう傾向が強く、感染が拡大しやすい環境となっていた。科学者たちは米州全体で麻しんの流行が再燃している要因として、ワクチン接種率の低下を指摘している。
ハリスコ州当局はグアダラハラ市内の7つの地域にある公立学校で、今後30日間マスク着用を義務付けると発表した。この措置はコロナパンデミック以降、メキシコで初めてとなる公衆衛生上の義務付けであり、医療専門家からの強い要請を受けて実施されたものだ。また、同州と中部アグアスカリエンテス州では麻しんの感染拡大を受けて、合わせて15校が一時的に休校となっている。
保護者や教師らは学校での対策としてマスクを着用しながら登校しているほか、地方自治体はワクチン接種キャンペーンを積極的に展開している。地方の政府庁舎や保健センターでは長い行列ができ、住民が麻しんワクチンの接種を待つ光景も見られる。中央政府は麻しんの予防には通常2回のワクチン接種が必要であるとして、住民への接種促進を数週間にわたり呼びかけている。
この感染拡大はワールドカップ開催を控える中での大きな懸念材料となっている。大会は米国、メキシコ、カナダの3カ国で同時開催される予定であり、多数の海外からの訪問者が来訪することが予想される。カナダは2025年11月に麻しんの「排除」状態を失い、米国とメキシコも同様の状況に陥る可能性があるとして、両政府は流行抑制に向けた2カ月の猶予期間を国際機関に要請している。一方で、2026年1月に米国が世界保健機関(WHO)からの離脱を表明したことが、国際的な協調対応に影響を与えるとの指摘もある。
保健機関によると、今年初めの3週間で米州7カ国における麻しんの新規感染確認数は前年同期の43倍に達し、死亡例は報告されていないものの、流行の勢いが顕著であるという。地方・連邦レベルでの対策強化や予防接種の拡大が急務となっている。
