▽ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
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中米ハイチのギャングが中部ミバレの国立病院を襲撃し、院内の機器が破壊された。現地メディアが22日に報じた。
それによると、地元当局は病院周辺の治安が悪化しているとして、住民に避難を呼びかけ、この病院を閉鎖したという。死傷者が出たかは分かっていない。
ミバレ大学病院の副院長はロイター通信の取材に対し、「当院は4月初めから何度も襲撃を受け、患者を他の病院に移している」と語った。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。
ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
最新のギャング間抗争は先月初めに勃発。ヴィヴ・アンサムと対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら支配地域の拡大を目指しているとされる。
一連の暴力とギャング間抗争により、100万人以上が住居を失い、その多くが避難所に身を寄せている。
ミバレはポルトープランスの北東約55キロに位置する。閉鎖された大学病院はコロナ患者の受け入れから高度ながん治療まで、難しい症例にも比較的安価な価格で治療を提供してきた。
病院のホームページによると、病床数は約300。全国から1日あたり約850人の患者が来院するという。
ヴィヴ・アンサムは先月、ミバレへの攻撃を開始し、全域を制圧。刑務所から刑務官を追い払い、約500人の受刑者を解放した。
国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」も今月、輸送車両の1台が銃撃を受けたとして、ポルトープランス周辺での患者受け入れを6月末まで停止した。
国連によると、ポルトープランスとその周辺の医療施設の7割以上が稼働していない状態。