▽ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
中米ハイチの国連支援ミッションを率いるケニア国家警察が首都ポルトープランスに追加要員を派遣した。ケニア内務省が18日、明らかにした。
それによると、警察官217人が17日にケニアを出発したという。
内務省は声明で、「ハイチの主権を守る国連ミッションはギャングによる暴力を減少させており、追加要員がこれを加速させると確信している」と述べた。
ケニアは昨年6月に初めて警察官を派遣。総数は600人を超えている。ルト(William Ruto)大統領は1000人の派遣を約束している。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは2年以上前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。中部アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
この結果、70万人以上が住まいを失い、その場しのぎの不衛生なテントやシェルターで避難生活を余儀なくされている。
国連によると、昨年ハイチ全土でギャング紛争に巻き込まれて死亡した市民は確認できているだけで5600人を超え、2200人以上が負傷し、1500人近くが行方不明になっている。
中米グアテマラとエルサルバドルは今月初め、数十人規模の部隊をポルトープランスに送った。
バハマ、バングラデシュ、バルバドス、ベナン、チャドも派遣を約束しているが、いつ派遣するかは明らかになっていない。