◎ハリス副大統領は今回の訪問の中で国境を視察しないという決定を擁護し、「大げさなジェスチャーではなく、目に見える結果をもたらすことが何より重要だと考えている」と記者団に語った。
6月7日、カマラ・ハリス副大統領はグアテマラの首都グアテマラシティでアレハンドロ・ジャマティ大統領と会談し、移民問題などについて協議した。
ハリス副大統領は会談後の記者会見で急増する移民問題に協力して対処すると述べ、徒歩で国境を越えようとしているグアテマラの市民を含む中米の移民希望者に「アメリカに来ないで」と警告を発した。
「私たちはグアテマラの市民が新たな家と希望を見つけることを支援すると約束します。そして同時に、アメリカとメキシコの国境への危険なトレッキングを考えている人々に来てはいけないと伝えたいと思います。来ないでください」
ハリス副大統領の訪問に先立ち、バイデン政権はこの地域の汚職、人身売買、麻薬密売に対処する新たなタスクフォースを創設すると発表した。
ハリス副大統領は新たなタスクフォースを概説したうえで、移民希望者の少女の教育と経済的機会の創出に焦点を当てた新しいプログラムを実行すると約束した。
しかし、この地域の汚職の抑制と生活環境の改善は、過去の政権も達成できなかった長期にわたる難題のひとつである。トランプ政権は汚職と麻薬密売を理由にグアテマラを含む中米の移民の流入を阻止した。
トランプ政権を含む歴代政権は汚職がこの地域の政府内に蔓延していると繰り返し非難し、対処するよう求めてきた。ジャマティ大統領自身も汚職問題で非難に直面している。
ジャマティ政権の汚職問題などを非難した弁護士2人は先月、政府を嘲笑したという容疑をでっちあげられ、逮捕された。
そして、最高裁判所の判事の選出はアメリカを困惑させ、国際社会から「ジャマティ政権の腐敗を強化する無謀な行為」と非難された。
ジャマティ大統領は最高裁判所判事の5つの空席のひとつに大統領首席補佐官を抜擢したが、議会はジャマティ政権の司法への介入を即却下した。
AP通信は、「ジャマティ大統領は判事問題と移民問題に興味がないように見えた」と報じた。
ジャマティ大統領は会談後の記者会見でAP通信から汚職に関する一連の批判について質問を受けたが、質問を却下した。その後別のジャーナリストから再度汚職に関する質問を受けると、ジャマティ大統領は自分に過失はないと憤慨し、「私は汚職の申し立てを受けたことは一度もない」と主張した。
ハリス副大統領は記者団に対し、「両国は腐敗防止と独立した司法機関の重要性を確認し、非常に非常に率直な協議を行った」と強調した。「アメリカとグアテマラは腐敗、人身売買、麻薬密売に対処するタスクフォースを創設しました。アメリカ政府と民間企業の投資をこの地域に呼び込むためには、さらなる進展が必要です」
ホワイトハウスは7日、合衆国国際開発庁(USAID)を通じて、グアテマラの起業家とイノベーターに750万ドル(約9億円)を投資し、さらに、手頃な価格の住宅、アグリビジネス、国内の中小企業への融資および投資に数百万ドルを投じると発表した。
ハリス副大統領は以前、中米の難民の支援と食糧不足に対処するために3億1,000万ドルを供出する計画を発表しており、12の企業や団体から経済的機会と職業訓練を促進する投資の約束を確保していた。
ハリス副大統領は今回の訪問の中で国境を視察しないという決定を擁護し、「大げさなジェスチャーではなく、目に見える結果をもたらすことが何より重要だと考えている」と記者団に語った。
しかし、会談で前向きな議論が交わされたにもかかわらず、移民希望者は国境付近になだれ込み、混乱を引き起こしている。
ホンジュラス中南部のエル・パライソ出身のヘンリー・アルマンド・ロドリゲス氏は、グアテマラとメキシコの国境にあるテクン・ウマンの移民施設の外で寝泊まりしている。ロドリゲス氏はAP通信の取材に対し、「ハリス副大統領がグアテマラにいることを知らなかった」と述べた。「ホンジュラスの生活環境は非常に悪いです」
「グアテマラの国境警備隊は私たちをブロックします。私たちはメキシコからアメリカに入国したいと考えています。今更後戻りはできません。ホンジュラスには何もありません。家も家具も食事もありません。私は子供を餓死させたくありません」