ハイチ誘拐事件、アイルランド政府が人質解放求める、武装兵が孤児院襲撃
ハイチでこのような誘拐事件は珍しくない。
.jpg)
アイルランド政府は6日、中米ハイチ当局に対し、武装集団に拉致されたアイルランド国籍の宣教師を含む8人の人質解放に向け、あらゆる手段を講じるよう求めた。
この誘拐事件は首都ポルトープランス近郊の地区で3日に発生。ギャングとみられる身元不明の武装兵が国際慈善団体が運営する孤児院の敷地に押し入り、宣教師と3歳の子供を含む8人を連れ去った。
アイルランド政府は声明で、ハリス(Simon Harris)外相がハイチの外相と電話会談を行い、宣教師を含む人質の解放に向けて、引き続き連携して取り組むことで合意したと明らかにした。
ハリス氏はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「誘拐された8人全員を解放するために必要な措置を講じることが不可欠である」と書いた。
地元メディアによると、この孤児院がある地区はギャングの支配下に置かれている。
ハリス氏は「身代金に関する合意にはまだ至っていない」と述べたが、詳細には言及しなかった。
またハリス氏はギャングの暴力に直面するハイチとの連帯を強調した。
アイルランドのメディアによると、この孤児院では2013年にも同じような事件が発生したという。
この時は身元不明の武装兵1人が孤児院に侵入し、職員1人を射殺、数人の子供を連れ去ったとされる。
ロイター通信は今週初め、治安筋の話しとして、ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」に忠誠を誓う勢力が宣教師らを拉致したと報じた。
解放交渉が行われているかは分かっていない。
孤児院はこの事件を受け、施設を閉鎖。国家警察の機動隊が周辺をパトロールしている。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。
ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ヴィヴ・アンサムと対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は24年10月~25年6月までの間に、ギャング暴力により全国で少なくとも4864人が死亡、130万人もの市民が避難を余儀なくされていると報告している。
ハイチでこのような誘拐事件は珍しくない。
悪名高いギャング「400マオゾ」は21年10月、ポルトープランス近郊で米キリスト教援助団体の米国人16人とカナダ人1人を誘拐した。
400マオゾは当初、人質1人につき100万ドルの身代金を要求。団体は最終的に35万ドルを支払い、17人は無事解放された。
400マオゾはヴィヴ・アンサムに吸収されたとみられる。