ハイチで「飢餓」深刻化、600万人が危機的状況に=IPC
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
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10以上の国連機関、政府、援助団体などが参加する「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」は10日、中米ハイチの食料不安が2026年半ばまでに深刻化すると予測し、ギャング暴力と経済崩壊の中で約600万人が危機的な飢餓に直面すると警告した。
IPCは10日に公表した報告書の中で、現在570万人のハイチ人が高いレベルの食料不安に直面しており、うち190万人は緊急レベル(フェーズ4)に該当すると指摘した。
またIPCは2026年半ばまでに591万人が食料不安に陥り、うち200万人がいつ餓死してもおかしくない状態に置かれる可能性があると述べた。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
首都ポルトープランスでは4年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。
ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
ポルトープランスでは現在も同地域の大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。
総合的食料安全保障レベル分類(IPC:Integrated Food Security Phase Classification)とは、食料安全保障の状況を客観的かつ統一的に評価・分類するための国際的な枠組みである。
国連、政府機関、国際機関、NGOなどが協力して開発・運用しており、危機的状況にある地域の早期警戒と対応を目的としている。
IPCは食料へのアクセス、消費、栄養状態、生計手段など複数の指標を総合的に分析し、状況を5つのフェーズに分類する。フェーズ1は「最小限」、フェーズ2は「ストレス」、フェーズ3は「危機」、フェーズ4は「緊急」、フェーズ5は「大惨事/飢きん」である。
これにより、各国政府や人道支援機関が迅速かつ効果的に支援策を講じるための科学的根拠を提供する。特にフェーズ3以上では緊急支援の必要性が高いと判断され、国際社会の注目を集める基準ともなっている。