ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
2024年9月22日/ハイチ、首都ポルトープランス中心部の避難民キャンプ(AP通信)

国連は9月30日、ギャングの支配下に置かれる中米ハイチの首都ポルトープランスで6000人近くが飢餓状態にあり、人口の約半数が飢饉に直面していると警告した。

「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の飢饉調査委員会(FRC)のレポートによると、ギャングの暴力によって物資の輸送が妨げられ、人々が食料を買うために家から出ることができないため、緊急レベルの飢餓に直面しているハイチ人の数はこの1年間で120万人増加し、合計540万人に達したという。

国連のデュジャリック(Stephane Dujarric)報道官は声明で、「ハイチは食料不安に苛まれる人の割合が最も多い国のひとつである」と述べた。

FRCによると、同国で最悪レベルの飢饉(いつ餓死してもおかしくない状態)に直面している人はポルトープランスの避難民キャンプで生活する5636人。さらに、約200万人が深刻な飢饉に直面している。

ポルトープランスに拠点を置くNGOの代表はAP通信の取材に対し、「このレベルの飢饉に発展するとは、正直予想していなかったし、誰も予想できなかった」と語った。「ギャングのせいで200万人が飢饉に直面すると予想できた人はどこにもいません...」

それによると、ギャングの影響を受けていないポルトープランス以外の地域でも自力で食料を確保できない人が増えているという。その多くが女性、子供、高齢者である。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

インフレも食料不安に拍車をかけている。パンの価格はこの1年で数倍に高騰。月間インフレ率は30~40%で推移している。

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