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ハイチ警察のドローン攻撃で1200人死亡、ギャング対策

HRWは2025年3月1日から2026年1月21日までの間に、国家警察や治安部隊、その協力者が運用するドローン攻撃によって少なくとも1243人が死亡し、738人が負傷したと明らかにした。
2026年3月3日/ハイチ、首都ポルトープランスの通り(AP通信)

中米ハイチで警察など治安当局が使用した武装ドローンによる攻撃で多数の死傷者が出ているとして、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)が最新の調査結果を公表し、暫定政権に対して調査と責任追及を求めた。ギャング対策として導入されたドローンが民間人の被害を招いている可能性があると指摘されている。

HRWは2025年3月1日から2026年1月21日までの間に、国家警察や治安部隊、その協力者が運用するドローン攻撃によって少なくとも1243人が死亡し、738人が負傷したと明らかにした。死者の中には17人の子どもが含まれ、さらに犯罪組織とは関係がないとみられる成人43人も死亡していた。負傷者の中にも少なくとも49人の民間人が含まれているとされる。

この攻撃は主に首都ポルトープランスで行われた。同市の9割が武装ギャングの支配下にあるとされる。警察はギャングの指導者やメンバーを標的にしているとしているが、HRWは攻撃の一部が民間人の多い地域で実施され、違法な殺害に当たる可能性があると指摘した。

報告書によると、攻撃には爆発物を搭載した小型のクアッドコプター型ドローンが使用され、車両や路上の人々に向けて爆発物が投下されていた。HRWが分析した動画では、武装していない人々や差し迫った危険を示していない人物に対して攻撃が行われているように見えるケースも確認されたという。

最も被害が大きかった攻撃では57人が死亡したとされる。また2025年9月20日には市中心部のスラム街で少なくとも9人が死亡、8人が負傷した。この中には3人の子どもが含まれていた。現地ではギャングの指導者が子どもたちに贈り物を配ろうとしていたとされる。

HRWはSNSに投稿された映像など7本の動画を分析し、そのうち4件をポルトープランス市内での攻撃として位置特定したと説明している。映像では爆発物を搭載したドローンが繰り返し使用されている様子が確認されたという。

これらの作戦は中央政府がギャング犯罪の拡大に対応するために開始した治安対策の一環とされる。作戦には外国の民間軍事企業などの関係者も関与していると報じられているが、指揮系統や監督体制は明らかになっていない。

HRWは10日の声明で、こうした攻撃は「即時の脅威が確認されていない人物への致命的な武力行使」であり、超法規的殺害に該当する可能性があると指摘した。そのうえで、政府に対し、治安部隊や請負業者の活動を厳しく管理し、民間人の被害が出た事件について独立した調査を実施するよう求めた。

ハイチでは長年にわたり政治的混乱と経済危機が続き、近年は武装ギャングの勢力拡大が深刻な問題となっている。国連は治安回復のためケニア主導の多国籍支援部隊を派遣しているが、資金や人員の不足が指摘され、首都の治安は依然として不安定な状況にある。

こうした中で進められているドローン攻撃は、犯罪組織対策としての効果と同時に、人権侵害や民間人被害の問題を引き起こしている。HRWは治安維持の名の下での無差別的な武力行使を防ぐため、透明性と責任追及の強化が不可欠だと訴えている。

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