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香港CKハチソン、「パナマ運河」港湾契約の裁定巡り仲裁手続きを開始

問題の発端は、パナマ最高裁が先月末にPPCが運営するパナマ運河の主要港(バルボア港とクリストバル港)のコンセッション契約について、独占的権益や税制優遇は憲法に反するとして契約の無効を宣言した判断である。
パナマ運河(Getty Images)

香港の複合企業CKハチソン・ホールディングスは4日、パナマとの間で進行している法的紛争をめぐり、国際仲裁手続きを開始したと発表した。仲裁申し立ては、同社の子会社でパナマ運河両端の港湾運営権を持つパナマ・ポート・カンパニー(PPC)が対象で、パナマの最高裁判所がこの港湾運営契約を違憲と裁定したことに基づいている。

問題の発端は、パナマ最高裁が先月末にPPCが運営するパナマ運河の主要港(バルボア港とクリストバル港)のコンセッション契約について、独占的権益や税制優遇は憲法に反するとして契約の無効を宣言した判断である。この契約は1990年代から続くもので、同社は運河東西両側の主要コンテナ港を長年管理してきたが、最高裁は更新を含めた契約全般が不当であると裁定した。

PPCはこれに強く反発し、国際商業会議所(ICC)による仲裁手続きをパリで開始した。仲裁は独立した国際裁判所の下で行われ、パナマ政府が契約を一方的に終了させたことが国際投資協定やパナマとの二国間取り決めに違反しているかどうかが争点になる見込みである。仲裁手続きは数年単位に及ぶ可能性があり、同社は賠償や契約権利の部分的回復を求める姿勢を示している。

今回の紛争は単なる民間企業と政府間の契約争いにとどまらず、米中間の地政学的対立を反映する側面も持つ。パナマの最高裁判決はトランプ政権が中国の影響力を中南米地域から排除しようとする政策と一致、米側は安全保障上の観点から中国資本による運河周辺インフラへの関与に懸念を示している。一方で中国政府はパナマの判断を強く批判し、「政治的・経済的な重い代償を払う」との警告を発した。

CKハチソン側は香港証券取引所への声明で、最高裁の判断及びパナマ政府の対応に「強い異議を唱える」と表明した。同社は今後も法的手段を尽くすとして、国内外での追加的な法的措置を辞さない構えを見せている。

この事案は、同社が進めている港湾資産売却計画にも影響を与えている。CKハチソンは43カ国にわたる港湾事業を総額約230億ドル規模で売却する契約を複数の投資家グループと結んでいるが、パナマ運河周辺の権益を巡る不透明感が取引全体の進行に影を落としているとの指摘が出ている。売却先には米国資産運用大手や欧州の物流企業が含まれ、地政学的な配慮が絡む複雑な構造になっている。

一方でパナマ政府側は、最高裁の判断は司法の独立に基づくもので、運河の運営や貿易に支障はないと強調している。現地では港湾機能の維持と国際物流への影響を最小限に抑えるための対策が進められているが、国際仲裁の進展次第で今後の方向性が大きく変わる可能性がある。

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