◎ストロ政権はこの火災を受け非常事態を宣言。刑務所内における暴力行為を取り締ま
ホンジュラス政府は20日、首都テグシガルパ近郊の町タマラにある女子刑務所で発生した暴動と火災について、ギャングのひとりが独房に火を放ったとみられると明らかにした。
政府が公開した刑務所内の監視カメラ映像には暴動後に押収された拳銃、ナタ、その他刃物が映っていた。
当局によると、この暴動で少なくとも41人が死亡したという。刑務官が巻き込まれたかどうかは明らかになっていない。
地元メディアは警察筋の話しとして、「この地域で対立する2つのギャングの構成員(受刑者)が喧嘩を始め、数人が銃で撃たれた」と伝えている。
犠牲者の大半が火災で死亡したとみられる。
カストロ政権はこの火災を受け非常事態を宣言。刑務所内における暴力行為を取り締まると約束した。
大統領府はシオマラ・カストロ(Xiomara Castro)大統領の声明を引用し、「問題が発生した刑務所には軍隊と警察を投入し、問題の即時解決を図る」と述べている。
タマラはテグシガルパの北西約50kmに位置する。
地元メディアによると、この女子刑務所の収容人数は約900人。死亡した41人の身元は明らかになっていないが、受刑者とみられる。
刑務所前で地元テレビ局の取材に応じた受刑者の家族は、「なぜ刑務所内でギャング間抗争が起きるのか?」と憤慨した様子で語った。
ソーシャルメディアで共有された動画には刑務所から黒煙が立ちのぼるところが映っていた。
カストロ氏は自身のSNSアカウントにも声明を投稿し、「女子刑務所で発生した恐ろしい虐殺事件にショックを受けている」と表明。ギャングの取り締まり以外にも対策を講じるとした。
地元メディアは関係者の話しとして、「暴動に関与した者をひとり残らず逮捕・起訴する」と伝えているが、それ以上の情報は現時点ではないとしている。
ホンジュラスは汚職とギャングの暴力に長年悩まされており、人口10万人当たりの殺人発生率は世界のトップ5に入る。
同国のコマヤグアにある刑務所で2012年に発生した火災では受刑者少なくとも361人が死亡した。
地元テレビ局の取材に応じた専門家はエルサルバドル政府が導入したギャング非常事態法を念頭に、「ホンジュラスでも似たような法律を導入するよう求める声が高まる可能性がある」と指摘した。
人権団体はエルサルバドルのギャング摘発を権利侵害と非難しているが、ギャングの暴力に長年悩まされてきた市民はこの政策を圧倒的に支持している。