◎対象地域は首都テグシガルパと第2の都市サンペドロスーラ。
ホンジュラス議会は5日、ギャング対策の一環として一部地域に非常事態を宣言し、憲法で定められている権利を一部停止すると発表した。
対象地域は首都テグシガルパと第2の都市サンペドロスーラ。両都市は中米最大のギャングであるマラ・サルバトルチャ(MS-13)やバリオ18などの暴力で苦境に立たされている。
この特別措置は5日に発効し、期間は1カ月としているが、連邦議会の判断で延長できる。隣国のエルサルバドルも今年3月にこれと似たような非常事態を宣言し、ギャングの取り締まりを続けている。
ホンジュラス議会の権限により、結社や移動の自由などが制限される。議会は声明で、「ギャングによる生命と財産に対する脅威が取り締まりの対象になる」と述べている。
地元メディアは専門家の話を引用し、「この措置は犯罪を防止すると同時に、抑圧も生み出す」と報じている。
この専門家は非常事態を擁護したうえで、「ギャングのリーダーおよび犯罪に関与した構成員を拘束することが重要である」と指摘した。
中米のギャング問題に詳しい専門家によると、非常事態宣言だけでギャングを掃討することは難しく、刑事司法制度、政府、そして国民の協力が欠かせないという。
AP通信は専門家の話を引用し、「ホンジュラス議会の特別措置はエルサルバドル政府のそれに比べると見劣りする」と報じている。
エルサルバドル政府は結社の自由や弁護人を選任する権利などを制限し、警察は裁判所の許可を得ずに被疑者を拘束できるようになった。
さらに、刑法改正により、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。
ある専門家はSNSに、エルサルバドルの措置は「権威主義的」だが、ホンジュラスは国際社会の目を意識し、犯罪を犯したギャングにのみ焦点を当てているように見えると投稿している。