◎カストロ氏は2006年から2009年まで国を率いたマヌエル・セラヤ元大統領の妻で62歳。
1月27日、ホンジュラスの首都テグシガルパで大統領就任式典で開催され、昨年11月の選挙に勝利したシオマラ・カストロ・デ・セラヤ氏が同国初の女性大統領に就任した。
カストロ氏は2006年から2009年まで国を率いたマヌエル・セラヤ元大統領の妻で62歳。セラヤ元大統領は11月の議会選でLibre(自由と復興党)を勝利に導いた。
<ホンジュラス2021議会選挙 定数128>
・Libre(自由と復興党) 50議席
・国民党 44議席
・自由党 22議席
・PSH(救世主党) 10議席
・その他
カストロ大統領は就任演説で「社会正義と透明性を追求し、麻薬密売組織の取り締まりを強化し、厳格な中絶法を見直す」と誓った。
しかし、カストロ政権を支えるLibreは新大統領の政策と方針をめぐって分裂しかけており、政権運営に大きな影響を与える可能性がある。
首都テグシガルパの国立競技場で開催された式典には数千人の市民と米国のカマラ・ハリス副大統領を含む関係国の高官が出席した。
バイデン政権はカストロ大統領がホンジュラスを悩ませてきた貧困、暴力、汚職、移民の増加に真剣に対処してくれることを願っている。
2009年のクーデター後の選挙で勝利した国民党は、2013年に就任したフアン・オルランド・エルナンデス前大統領のもと、権威主義体制を確立した。
ニューヨークの検察はエルナンデス前大統領を麻薬密売容疑で告発しているが、エルナンデス前大統領は関与を否定している。なお、エルナンデス前大統領の兄弟は国家規模の麻薬密売に関与した容疑で起訴され、2020年に米国の裁判所で終身刑を言い渡された。
ホンジュラスは台湾と外交関係を結んでいる数少ない国のひとつであり、頼清徳(ウィリアム・ライ)行政院長(首相)も式典に出席した。
カストロ大統領は、「ホンジュラスで進行中の経済危機は、この国の歴史上最悪と言っても過言ではない」と述べ、債務の処理と経済対策を両立させる必要があると強調した。「次の世代に膨大な借金を残すべきではありません。政治家は私利私欲ではなく、債務を処理しながら国民のための経済対策を実行しなければなりません...」
カストロ大統領は昨年の選挙で国民党の候補に勝利するために、PSH(救世主党)から立候補する予定だったサルバドール・ナスララ氏と協定を結び、LibreとPSHの連立の道を開いた。
ナスララ氏は立候補を控えカストロ大統領の応援に回る見返りとして議会議長に就任する予定である。しかし、一部のLibre議員がこの方針に反対し、国民党と協力して別の候補を擁立すると宣言したため、Libreは分裂した。
カストロ大統領は22日の声明で反対に回ったLibreの議員18人を追放すると発表したが、この18人が国民党に加わると、他党と連立を組んでも議会の過半数を占めることは難しくなる。
国立競技場の近くで果物店を営んでいる女性はAP通信の取材に対し、「新大統領は対話を通じて問題を解決しなければならない」と述べた。「対立を解消しなければ、野党は彼女の法案をすべて拒否するでしょう。彼女はリーダーシップを示さなければなりません...」
ホンジュラスは中南米で最も貧しい国家のひとつであり、高失業率、暴力、汚職、医療と教育システムの不備、移民の増加に悩まされている。カストロ大統領はLibreの分裂問題を解決したうえで、PSHや他党との連立または協力関係の構築に向けた取り組みを進める必要がある。