◎エルナンデス被告は今年2月に逮捕され、先月米国に送還された。
ホンジュラスの前大統領であるエルナンデス(Juan Orlando Hernandez)被告は10日、米ニューヨーク地裁の陪審員に無罪を主張し、捕虜のような扱いを受けていると不満を表明した。
NY地裁は麻薬密売などに関与したとしてエルナンデスを起訴している。エルナンデスは今年2月に逮捕され、先月米国に送還された。
ロイター通信によると、エルナンデスは足首に鎖を巻いた状態で出廷し、無罪を訴えたという。
エルナンデスは大統領に就任する前の2004年頃から、主にコロンビアとベネズエラ経由で米国に約500トンのコカインを密輸したとして告発されている。
しかし、エルナンデスは無罪を訴え、麻薬密売に関わったという「噂」は米国で有罪判決を受けた麻薬密売人の復讐と主張している。
今年1月に就任したホンジュラス初の女性大統領であるカストロ(Xiomara Castro)氏は汚職の撲滅を公約に掲げ、エルナンデスを米国に送還するという最高裁の決定を擁護した。
エルナンデスの弁護人によると、被告は独房に監禁され、家族に電話することも許されていないという。弁護士は審理の中で、「彼の扱いは他の囚人とは異なる。まるで捕虜のように扱われている」と主張した。
判事は連邦政府に対し、エルナンデスの拘留状況を調査し、1週間以内に報告するよう命じた。
エルナンデスを3つの麻薬・武器犯罪で起訴され、有罪が確定すれば禁固数十年を言い渡される可能性がある。
原告のウィリアムズ(Damian Williams)弁護士は先週の記者会見で、「エルナンデスはホンジュラスの暴力に拍車をかけた汚職と大規模なコカイン売買に関与していた」と語った。「エルナンデスが金と政治的影響力を蓄える一方、ホンジュラスの国民は貧困と暴力に耐えてきました...」
エルナンデスはこれらの疑惑をすべて否定している。先月の身柄引き渡し前に公開されたビデオメッセージでは、「私は無実であり、不当に訴追されてきたし、今まさにされているのだ」と訴えていた。
エルナンデスの兄(Juan Antonio “Tony” Hernandez)は昨年3月、麻薬密売に関与したとして米地裁で終身刑を言い渡された。エルナンデスの疑惑はこの裁判で明らかになったとされる。兄は当時大統領だったエルナンデスに麻薬関連の賄賂を渡したと証言している。
一方、AFP通信などによると、ホンジュラス当局は10日、麻薬関連容疑で元警察署長(Juan Carlos Bonilla)の身柄を米国に引き渡したという。
米地裁は「元警察署長は法執行機関の地位を悪用し、国際麻薬取引で重要な役割を果たした」と告発している。
しかし、この元警察署長もエルナンデスと同様、告発をすべて否定している。