◎エルナンデス容疑者は2014年に大統領に就任し、今年1月の退任から数週間後に逮捕された。
2022年2月15日/ホンジュラス、首都テグシガルパの警察本部、フアン・オルランド・エルナンデス容疑者(Getty Images/AFP通信)

ホンジュラスの最高裁判所は28日、麻薬取引などの容疑で逮捕されたエルナンデス容疑者の米国への身柄引き渡しを認めた

最高裁の報道官は声明の中で、「判事は16日の決定に対するエルナンデスの上訴を退けた」と述べている。最高裁は16日に同容疑者の米国への送還を認めていた。

エルナンデス容疑者は2014年に大統領に就任し、今年1月の退任から数週間後に逮捕された。容疑者は告発をすべて否定している。

身柄の引き渡しを求めているニューヨーク南部地区裁判所はエルナンデス容疑者を麻薬密売計画に関与した罪などで告発している。容疑者の兄弟は国家規模の麻薬密売に関与した罪で起訴され、2021年3月に米国の裁判所で終身刑を言い渡された。

米検察当局によると、容疑者は2004年以降、コロンビアやベネズエラなどの麻薬500トンをホンジュラス経由で米国に密輸するのを手助けしたという。

検察は容疑者がメキシコの麻薬王ホアキン・グスマンを含む麻薬密売人から数百万ドルを受け取ったと主張している。

ホンジュラス初の女性大統領であるシオマラ・カストロ大統領は、エルナンデス容疑者の免責特権をはく奪している。

検察によると、容疑者は「米国への規制薬物輸入への関与」「機関銃を含む銃器の使用または携帯」「銃器の使用または携帯の共謀」の3つの容疑に直面している。

1つ目の容疑については、最高裁判事15人が全会一致で引き渡しを支持した。銃器関連の2つの容疑については、賛成13票ー反対2票であった。この判決に不服を申し立てることはできない。

エルナンデス容疑者に対する疑惑の大半は、ニューヨークで行われた2つの裁判、容疑者の弟で元ホンジュラス議員のフアンともうひとりの被告の裁判で明らかになった。

2人は麻薬密売事件に深く関与したとして、ともに終身刑を言い渡されている。検察はエルナンデス容疑者を同事件の「共謀者」と位置づけた。

検察は、「容疑者がホンジュラス西部の農村の下院議員から国民議会議長になり、その後2期連続で大統領を務めた政治的出世は、麻薬密売人からの賄賂と支援によるものが大きい」と指摘している。

麻薬密売人はその見返りとして、何不自由なく活動することを許可され、当局の捜査情報を事前に受け取り、時には治安部隊に助けてもらったこともあると報告されている。

エルナンデス容疑者は28日に公開された書簡の中で改めて無実を主張し、「自分は復讐と陰謀の犠牲者である」と述べた。

容疑者は自分が米国に送還した麻薬密売人が、自分に仕返しをしようとしていると主張している。容疑者は書簡の中で、「終身刑は私を生ける屍にしかねない」と述べ、愛する者たちと別れるのは苦痛だと訴えた。

容疑者の妻で弁護士のアナ・ガルシア氏は28日、首都テグシガルパの最高裁前で開催された抗議デモに参加した。

ガルシア氏は地元メディアに、「裁くのであれば、ホンジュラスで裁くべきだ」と述べ、身柄の引き渡しに反対した。

容疑者の家族も同日声明を発表し、「今回の判決で有罪が決まったわけではない」と強調した。「私たちは一連の告発がフアン・オルランド・エルナンデスが破壊した麻薬組織の復讐計画であることを米国の裁判所に示す準備ができており、無罪を証明できると確信しています」

2019年8月13日/ワシントンD.C.の米州機構本部、ホンジュラスのフアン・オルランド・エルナンデス大統領(Jacquelyn Martin/AP通信)
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