ホンジュラス大統領選、抗議デモで再集計進まず、停止状態続く、混乱長期化
11月30日に実施された大統領選の一部票の手作業による再集計は、集計の矛盾が指摘された票の見直しを目的としていたが、反対勢力の妨害により開始できない状態が続いている。
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ホンジュラスで先月末に実施された大統領選挙の特別再集計が抗議デモにより依然として停止状態にある。現地メディアが17日に報じた。
11月30日に実施された大統領選の一部票の手作業による再集計は、集計の矛盾が指摘された票の見直しを目的としていたが、反対勢力の妨害により開始できない状態が続いている。
この再集計は選挙結果を左右する可能性のある不一致票約15%を対象にしている。機械集計ではトランプ(Donald Trump)米大統領の支持を受ける右派の国民党アスフラ(Nasry Asfura)氏が中道のナスララ(Salvador Nasralla)氏を約4万3000票上回っているが、情勢は極めて流動的だ。再集計対象の票は数十万票にも上るとみられる。
再集計が進まない主因は与党・自由復興党(LIBRE)の支持者らが選挙管理委員会の事務所前に集結して行う抗議活動だ。支持者たちは全面的な再集計を要求、スタッフが作業場に入れない状況が続いている。
LIBREのリキシ・モンカダ(Rixi Moncada)前国防相の得票率は約19%で3位、逆転の可能性はゼロに近い。
選管はLIBREを含む政党から派遣された再集計担当者が業務を放棄したこともあり、作業開始が妨げられていると説明している。
選管は法律上、具体的かつ客観的な理由が存在する場合に限り、特別な見直しや再集計を行うことが認められているが、証拠の提示がないまま全票の再集計に応じる法的根拠はないとの立場を示している。
選管は17日の声明で、「選挙法は客観的で特定の根拠がある場合にのみ再集計を許可している。根拠のない全面再集計は認められない」と強調した。
再集計の遅れにより、暫定結果しか示されないまま決着が先送りされている。選管は12月30日までに最終結果を発表する必要があり、当選者は来年1月に就任する予定だ。
結果が確定しない状態が続く中、政治的緊張と不安が高まっている。政治アナリストらは、選管は作業環境を提供し必要な条件を整えてきたが、停滞の責任はもはや当局ではなく政党側にあるとの見解を示している。
こうした状況は国内だけでなく国際的にも注目されており、EUや米州機構(OAS)などの監視団は広範な不正行為を示す証拠はないとしたうえで、再集計を速やかに進めるよう呼びかけている。
再集計停止と抗議デモはホンジュラスの政治的分断の深さを浮き彫りにしている。与党支持者らはアスフラ氏への支持を表明したトランプ氏が内政に干渉したと非難している。
一方で保守系と中道の支持者らは選挙の正当性を主張し、情勢は混迷を極めている。最終的な結果がいつ確定し、平穏な政権移行が実現するかは依然として不透明なままだ。
