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ホンジュラス大統領選、不正疑惑の中で投票実施、三つ巴の争い

登録有権者は約650万人。次期大統領、128議席からなる国会議員や数百の市長ポスト、地方議員などが選出される。
2025年11月30日/ホンジュラス、首都テグシガルパの投票所(ロイター通信)

中米ホンジュラスで11月30日、総選挙が行われた。

この選挙は大統領選の候補者同士による「不正行為」の疑惑が飛び交う中で行われ、国際的な注目が集まっている。

登録有権者は約650万人。次期大統領、128議席からなる国会議員や数百の市長ポスト、地方議員などが選出される。

大統領選は3人の有力候補による三つどもえの争いとなっている。

1人は与党・自由復興党(LIBRE)のリキシ・モンカダ(Rixi Moncada)前国防相。もう1人は右派の国民党ナスリ・アスフラ(Nasry Asfura)前テグシガルパ市長。そして中道右派の自由党サルバドル・ナスララ(Salvador Nasralla)前副大統領である。世論調査では3人の支持率が拮抗しており、決選投票にもつれ込む可能性が高い。

投票に先立ち、「不正の可能性」をめぐる争いが激化していた。与党側は野党が「詐欺投票」を計画していると主張する一方、野党はこれを強く否定。さらに、選挙日前には国民党の関係者と軍幹部が投票操作を画策していたという音声記録が流出したと野党が公表。国民党はこの録音を「AIによる偽造」と主張し、互いに責任をなすりつけ合う事態となった。

また、選挙当日の手続きに関しても問題が指摘されている。投票用紙の配布遅延や、軍が集計票の写しを選挙管理委員会に要求するなど、法律に抵触する可能性のある行動があった。こうした動きが重なり、国民の間で選挙管理機関や全体の選挙プロセスに対する信頼は著しく低下していた。

こうした混乱と疑惑の中で迎えた投票日、多くの国内外の関係者が、今回の選挙の公正性と正当性を注視した。特にOASや米政府の一部からは、「選挙は恐喝、不正、政治圧力なしに実施されるべき」との要請が出されていた。

地元メディアによると、集計作業は最大で数週間かかる可能性があるという。現地ではどの候補が勝利を主張しても混乱が起きかねないとの警戒感が高まっている。特に、前回のような選挙後の争いが再燃することへの懸念が根強い。

今回の選挙は単に次期大統領を選ぶだけのものではない。ホンジュラスの民主主義、国家の安定、そして貧困や治安といった国内課題への対応を左右する重要な転換点とみなされており、その行方は国内はもとより、国際社会からも注目を集めている。

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