キューバで自転車ブーム、米国の海上封鎖で燃料不足続く中
キューバは長年、ベネズエラから原油や燃料を安定的に輸入していた。
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キューバの首都ハバナで自転車人気が急速に高まっている。これは米国による燃料供給への圧力が原因で、ガソリン・ディーゼルが著しく不足し市民生活に深刻な影響を及ぼしている結果だ。
キューバは長年、ベネズエラから原油や燃料を安定的に輸入していた。しかし1月、米国がベネズエラの石油産業を掌握したことでこの供給が途絶えた。主要な燃料供給源を失ったキューバでは燃料価格が高騰し、入手自体が困難になっている。さらに、メキシコからの燃料輸送も米国の関税圧力を受けて停止し、燃料不足が一段と深刻化した。
燃料不足は都市交通にも打撃を与え、公共交通機関の運行停止や停電が常態化する中、ハバナでは自転車が市民の重要な移動手段として復権しつつある。多くの住民が旧来の自転車を倉庫から引っ張り出し、パンクしたタイヤを修理して通勤や買い物に利用しているほか、自転車の乗り方を学ぶ大人も増えている。市民団体シティクレタ(Citykleta)が主催する自転車教室には予想の数倍の参加者が集まり、乗り方を学ぶキャンペーンは好評を博している。
ハバナ在住のガブリエラ・バルボン(Gabriella Barboza)さんは自転車を初めて購入し、通勤や日常の移動に使い始めた。「自転車に乗る必要がある」と語り、燃料価格の高騰が生活を変えた実情を示している。また、ヨアンドリス・エレーラ(Yoandris Herrera)さんは、以前はオートバイで移動していたが、現在は自転車で仕事や子どもの送迎をしている。「燃料が高すぎるため、自転車の方が実用的だ」と話す。
自転車人気の高まりは関連産業にも影響を与えている。ハバナの路上で自転車修理を行うペドロ・カリーヨ(Pedro Carrillo)さんは「ブームが爆発したようだ」と話すが、部品不足という新たな問題にも直面しているという。「部品がまったく手に入らないことがあり、対応できないケースもある」と業界の苦境を語る。
燃料不足に対しては電気自動車や太陽光発電を導入する動きも出ているが、電力供給自体が不安定なため、すぐには効果が出にくい状況だ。キューバ共産党は企業による燃料輸入を認める方針も示しているが、燃料価格が高騰しており、一般企業が燃料を調達できるかは不透明だ。
米国の燃料圧力は人道的な懸念も引き起こし、国際社会や周辺諸国から支援や対話を促す声も強まっている。カナダは国連機関を通じて食料支援を表明するなど、人道支援に乗り出している。
キューバの自転車ブームは燃料不足という危機の中で市民が生活を切り開く一つの象徴となっているが、根本的なエネルギー不足の解消には程遠く、キューバ社会は厳しい日常と向き合い続けている。今後、燃料不足がどのように解決されるかは政治・外交面の動きにも左右される見込みだ。
