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ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
2025年4月14日/ハイチ、首都ポルトープランスの避難所(AP通信)

国連世界食糧計画(WFP)は18日、中米ハイチの人口の半数以上が今年6月までに深刻な食糧不安に見舞われ、首都ポルトープランスの避難所などに身を寄せる市民少なくとも8400人が餓死する恐れがあると警告した。

WFPの食料安全保障・栄養分析を担当するバウアー(Jean-Martin Bauer)氏はハイチの現状について、「ギャングの絶え間ない暴力と進行中の経済破綻が原因である」と指摘している。

それによると、深刻な食糧不安に直面している人々の数は昨年から30万人以上増加し、約570万人に達したという。これは総合的食料安全保障レベル分類(IPC)のフェーズ3以上を指す。

フェーズ3は危機レベルの飢餓と定義され、フェーズ4は緊急事態、フェーズ5は大災害または飢饉とみなされる。

ポルトープランス中心部の避難所で3人の子供と暮らす女性はAP通信の取材に対し、「ギャングの暴力によって家を失い、1年以上前にこの避難所に逃れた」と語った。

また女性は「1週間のうち、子供たちに砂糖水とパンしか与えられない日が3日か4日はある」と述べた。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は先月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら支配地域の拡大を目指しているとされる。

ヴィヴ・アンサムは最近、ポルトープランスから数十キロ離れた中部の2つの町を占領した。地元メディアによると、地元警察はギャングの勢いに圧倒され、町を放棄したという。

市内の避難所では食料や飲料水がほぼ毎日配布されていた。しかし、2月下旬にトランプ米政権が国際開発庁(USAID)の対外援助契約の90%を打ち切った後、援助は減少し始めた。

14日に公表された国連のレポートによると、ハイチ向けの援助資金はいつ枯渇してもおかしくないという。

それによると、24年8月から25年2月までの間、約97万7000人のハイチ人が毎月人道援助を受けていたが、現在その数は半減しているという。

ユニセフは17日、推定285万人の子供たちが「一貫して高いレベルの食糧不安に直面している」と警告した。

WFPは今後6ヶ月間、ハイチでの援助活動を継続するためには5370万ドル(約76億円)の緊急支援が必要と訴えている。

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