◎ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
ハイチの首都ポルトープランスで19日、政府とギャングに抗議するデモが行われ、数百人が参加した。
現地メディアによると、機動隊がデモ隊に催涙ガス弾を撃ち込み、数人を拘束したという。
デモ隊はギャングの暴力が続く中、政府と警察にポルトープランスの平和を取り戻すよう訴えた。
またデモ隊は暴力を鎮めようとする警察の最近の措置がほとんど機能していないことに怒りと不満を表明し、タイヤや車を燃やした。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
デモに参加した男性はAP通信の取材に対し、「聞く耳を持たない政府に抗議するために街頭に出た」と語った。この男性が住む地域では対立する複数のギャングが連日銃撃戦を繰り広げているという。
中部サンマルクの刑務所では先週、受刑者が脱獄し、警察との銃撃戦に発展。受刑者11人が死亡、1人が逮捕されている。