◎ギャングは数カ月前にハイチ国立大学病院を占領。室内を荒らしまわった。
ハイチ国家警察が同国最大の病院をギャングから奪還した。中央政府が9日、明らかにした。
それによると、機動隊は7日夜、首都ポルトープランスの中心部にあるハイチ国立大学病院に踏み込み、ギャングを打ち負かしたという。死傷者や逮捕者が出たかどうかは明らかになっていない。
コニーユ(Garry Conille)首相は9日、国家警察の長官らと共に同院を視察。関係者と面会した。
首相府の報道官は声明で、「国民は警察が盗賊団を打ち負かし、無力化したことに歓喜している」と述べた。
また報道官は「国連PKOを率いるケニア国家警察を含むパートナーと連携して、ポルトープランスの平和を取り戻す」と誓った。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ギャングは数カ月前にハイチ国立大学病院を占領。室内を荒らしまわった。
地元メディアによると、ベッドのシーツはことごとくはぎとられ、床のタイルが剥がれたり、天井に穴が開いていた部屋もあったという。
コニーユ氏の視察に同行した議員の1人は声明で、「来年2月までに同院をフル稼働させるべく、国を挙げて復旧作業に当たる」と述べた。
それによると、同院はギャングに占領される前、1日約1500人の患者を受け入れていたという。
ユニセフは最近公表した報告書の中で、「ポルトープランスを含む都市部でコレラやインフルエンザなどの感染症が拡大しており、この数カ月で8万4000人以上が感染したとみられる」と明らかにしていた。