◎警察は6日午後に元上院議員のブイセレス氏とその甥の遺体を発見した。
ハイチ政府は7日、社会労働省に勤務していた元上院議員が首都ポルトープランス近郊の高級住宅街で何者かに殺害されたと報告した。
AP通信は政府高官の話を引用し、「警察は6日午後に元上院議員のブイセレス(Yvon Buissereth)氏とその甥の遺体を発見した」と報じている。
当局によると、2人が乗っていたとみられる車は火を放たれ、黒焦げになっていたという。政府高官はAP通信に、「この地域を支配するギャングの仕業に違いない」と説明した。
警察は捜査を進めているとみられる。2人が狙われた理由は不明だが、地元紙は警察筋の話を引用し、「ブイセレス氏はギャングの取り締まりを推進していた」と報じている。
ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震でほぼ崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは数週間前から「G9&Family」と「G-Pep」と呼ばれる2つのギャングが地域の支配権をめぐって激しい戦闘を繰り広げており、国連によると、7月中旬以降の死者、負傷者、行方不明者は確認できているだけで470人を超え、数千人が避難を余儀なくされた。
ポルトープランスで「無法者」と呼ばれているギャングの「ティ・マカク」は、ポルトープランス郊外に拠点を置く「トト・ギャング」と高級住宅街周辺の縄張りを争っているとみられる。
AP通信によると、ブイセレス氏と甥の遺体はポルトープランスのギャング紛争地を避けることができる道路で発見されたという。この道路周辺はまだ比較的安全と考えられている。
アンリ(Ariel Henry)首相は7日、2人の殺害をギャングの「蛮行」と厳しく非難し、事件に関与した者をひとり残らず捕えると約束した。「ハイチに尽くした男の暗殺に関与した犯罪者はひとり残らず訴追されるでしょう...」
国連安全保障理事会は先月、ハイチへの武器販売を禁止する決議案を全会一致で採択し、国際社会により強力な支援が必要と呼びかけた。