▽ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
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中米ハイチのポルトープランスを牛耳るギャングのひとつがFMラジオ局を乗っ取り、偽情報を発信している。地元メディアが25日に報じた。
個人経営のラジオ・パニックFMのディレクターは25日、ポルトープランスで活動する人権団体の取材に対し、中部ミバレにある事務所が4月20日以来ギャングの支配下にあると語った。
それによると、ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」の傘下ギャングが放送を行い、そのリーダーとされる男が最近リリースした曲を繰り返し流し、政府に関する偽情報も発信しているという。
このギャングは23年にヴィヴ・アンサムに加わり、先月のミバレ襲撃に参加したとみられる。
ミバレはポルトープランスの北東約55キロに位置する。
ヴィヴ・アンサムは先月、ミバレへの攻撃を開始し、全域を制圧。刑務所から刑務官を追い払い、約500人の受刑者を解放した。
ラジオ・パニックFMのディレクターによると、この襲撃の際、2人のジャーナリストがギャングの人質に取られたという。2人は後に解放されたが、別のジャーナリスト1人が行方不明になっている。
ヴィヴ・アンサムはポルトープランスの3つのラジオ局も管理下に置いている。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。
ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
最新のギャング間抗争は先月初めに勃発。ヴィヴ・アンサムと対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら支配地域の拡大を目指しているとされる。
一連の暴力とギャング間抗争により、100万人以上が住居を失い、その多くが避難所に身を寄せている。