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▽事件はドミニカの国境近くにある町の刑務所で3月31日に発生。ヴィヴ・アンサムの構成員が刑務所を制圧し、受刑者を全員解放したという。
2022年3月29日/ハイチ、首都ポルトープランス(Odelyn Joseph/AP通信)

中米ハイチ首都ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」が隣国ドミニアの国境に近い刑務所を襲撃し、500人以上の受刑者が脱獄した。現地メディアが5日に報じた。

それによると、事件はドミニカの国境近くにある町の刑務所で3月31日に発生。ヴィヴ・アンサムの構成員が刑務所を制圧し、受刑者を全員解放したという。

AP通信は目撃者の話しとして、「刑務官たちはギャングに取り囲まれる前に逃げ出した」と伝えている。死傷者の情報はない。

ハイチ国家警察の報道官は5日、刑務所への攻撃が事実であることを認めたが、脱獄した受刑者の数には言及しなかった。

この町でポルトープランスから避難した市民を支援している人権団体はロイター通信の取材に対し、「警察署の署長は500人以上の受刑者が脱獄し、全員が行方知れであると話していた」と語った。

ギャングは刑務所に火を放ち、近くの警察署も攻撃。複数のパトカーが全焼した。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は先月初めに勃発。ヴィヴ・アンサムと対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら支配地域の拡大を目指しているとされる。

襲撃を受けた刑務所の職員は地元ラジオ局のインタビューで、「ギャングは米国やドミニカから銃器、爆薬、地雷などを大量に輸入し、戦力を増強している」と語った。

それによると、3月30日にこの刑務所近くで小競り合いがあり、数人が逮捕され、緊張が一気に高まったという。

ヴィヴ・アンサムの構成員たちは刑務所を取り囲み、攻撃を開始。この時、刑務官たちはすでに避難していた。

APによると、この刑務所の責任者は数週間ほど前から本部に対し、要員を増やし、装甲車やロケットランチャーなどの武器を送るよう求めていたという。

ドミニカ国境沿いの複数の町にはポルトープランスから逃れた数十万人が身を寄せている。

地元メディアによると、ハイチとドミニカの国境では違法武器を売買するディーラーが複数活動している。ギャングはこれらのディーラーを通じて米国製の高性能な銃器を入手しているとみられる。

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