ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
ハイチ、首都ポルトープランス、政府とギャングの暴力に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)

中米ハイチの暫定評議会議長が26日、国連総会の演説で、ギャングとの戦いに終止符を打つため、国連による平和維持活動を支持する表明した。

暫定評議会が公の場でPKOを支持すると表明したのは初めてである。

ルブラン(Edgard Leblanc Fils)議長は演説で、「私は過去の過ちを繰り返してはならないと認識しつつも、進行中の問題を解決するためには、国連PKOが欠かせないと確信している」と述べた。

ルブラン氏は25日、ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官らと会談し、6月下旬にケニア国家警察の最初の部隊がハイチに到着したときから始まったPKOミッションの現状について話し合った。

現在、ハイチの首都ポルトープランスにはケニアの警察官約400人と、ジャマイカの警察官と陸軍兵士約20が駐留している。

バハマ、バングラデシュ、バルバドス、ベナン、チャドも部隊の派遣(少なくとも1900人)を表明しているが、時期は明言していない。米国は3億ドルを拠出する予定だ。

現ミッションはまもなく期限切れとなり、10月2日までに国連安全保障理事会で更新する必要がある。

ルブラン氏はこのミッションを現在の安全保障支援から国連の委任統治下に置かれる平和維持ミッションに格上げしてほしいと訴えた。

米国は体制の見直しを提案しているが、ロシアと中国が懸念を示している。安保理は昨年、ハイチへの部隊派遣を全会一致で承認した。

国連PKOは過去に3回、ハイチに軍事介入している。1993年のミッションは2000年まで続いた。

2004~17年間には2回介入。2010年にコレラが蔓延し、約1万人が死亡。一部兵士が性的暴行疑惑で拘束されると、多くのハイチ国民が怒りを爆発させた。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

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