◎ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
ハイチ南部ニップで石油タンクローリーが爆発した事故について、地元当局は16日、これまでに26人の死亡を確認し、数十人が病院で治療を受けていると明らかにした。
事故はニップ近郊の幹線道路で14日に発生。他の車と衝突事故を起こした石油タンクローリーから燃料が漏れ、多くの市民がガソリンを集めている最中に爆発した。
AP通信は当局者の話しとして、「少なくとも40人が負傷し、うち6人が首都ポルトープランスに空輸され、治療を受けている」と報じた。
当局は16日、重度の火傷を負った別の12人もポルトープランスに移送する予定と明らかにした。
コニーユ(Garry Conille)首相は15日、ポルトープランスの空港で記者団の取材に応じ、少なくとも10数人が重傷を負い、全身の80%に火傷を負った人もいる明らかにしていた。
ガソリンが爆発した原因は明らかになっておらず、捜査が進んでいるかどうかも不明である。
ニップはポルトープランスの西方約100キロに位置する。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
国連によると、今年1~5月までに全土で殺害された市民は3200人以上。この1年半で50万人以上が住居を失ったと推定されている。
ハイチでタンクローリーの爆発事故が発生したのは3年ぶり。2021年、北部の都市カパイシアンでバイクを避けようとしたタンクローリーが横転・爆発し、75人が死亡。その多くが漏れ出したガソリンを集めようとした人々であった。