ハイチ軍、メキシコに兵士150人派遣、訓練実施中

ハイチ軍兵士はメキシコで3ヶ月間訓練を受ける。
2022年5月2日/ハイチ、首都ポルトープランスの通り(Ralph Tedy Erol/ロイター通信)

ハイチ政府は25日、メキシコに150人の兵士を派遣し、訓練を実施していると明らかにした。

これは両国間の合意に基づくもので、ハイチが軍の再建を目指す中、メキシコで訓練を受ける兵士は合計700人に上る。

暫定大統領評議会は声明で、「この派遣はハイチ軍の再建における歴史的な節目であり、国家安全保障能力の強化を目的とした政策の一環である」と述べた。

また評議会は「これは政府が全国で国家の権威を回復するという確固たる決意を示している」と強調した。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は24年10月~25年6月までの間に、ギャング暴力により全国で少なくとも4864人が死亡、130万人もの市民が避難を余儀なくされていると報告している。

ハイチ軍兵士はメキシコで3ヶ月間訓練を受ける。帰国後はケニア国家警察が率いるMSS(ハイチ国連支援ミッション)の支援を受けて、ハイチ国家警察のギャング取り締まりに参加する。

今月初めには約30人のハイチ軍兵士がカリブ海のフランス領マルティニーク島で2週間の訓練を受けた。

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