ハイチ国家警察の長官にパライソン氏、ギャング戦争続く中

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。首都ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。
2022年11月8日/ハイチ、首都ポルトープランスの燃料ターミナル入り口(Odelyn Joseph/AP通信)

ハイチ国家警察が大統領府の元警備責任者を長官に任命した。

地元メディアによると、暫定大統領評議会の委員はパライソン(Vladimir Paraison)氏を長官に任命する人事を全会一致で支持したという。

パライソン氏は声明で、「国民の命を守るために不眠不休で働く決意だ」と語った。

またパライソン氏は首都ポルトープランスとその周辺地域でギャングが猛威を振るう中、「安全保障を確立することが最重要課題である」と述べた。

首相府は現在、ギャング向けの爆発物搭載ドローン作戦を担当するタスクフォースを立ち上げ、国家警察と協議を進めている。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は24年10月~25年6月までの間に、ギャング暴力により全国で少なくとも4864人が死亡、130万人もの市民が避難を余儀なくされていると報告している。

米政府は5月、ヴィヴ・アンサムとグラン・グリフを「外国テロ組織」と「国際テロリスト」に指定した。

資金不足に悩むハイチ国家警察は国連支援ミッション(MSS)のサポートを受けているものの、ギャングの猛攻を阻止できずにいる。

暫定大統領評議会は今週、アルフォンス・ジャン(Fritz Alphonse Jean)氏の後任として、サン・シル(Laurent Saint-Cyr)氏を新議長に選出した。

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