ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
2024年4月22日/ハイチ、首都ポルトープランス、暫定大統領評議会の委員ら(AP通信)

中米ハイチの捜査当局が2日、同国の暫定大統領評議会の委員3人を収賄罪で告発した。

それによると、この3人は国営信用金庫の取締役への天下りと75万ドル以上の金銭を要求したとみられる。

公務員の汚職を調査する反汚職機関(anti corruption agency)の責任者は首都ポルトープランスの記者団に対し、「誰であろうと、法律の上に立つことはできない」と強調した。

責任者の後ろには防止とフェイスマスクで身元を隠した6人の調査官が立っていた。

暫定大統領評議会は今年発足したばかりであり、ギャングによる暴力を抑え、総選挙を実施するという大きな任務を負っている。

この汚職疑惑はギャングの暴力に苦しむ数百万人を落胆させ、支持率低下だけでなく、新たな暴動に発展する可能性もある。

コニーユ(Garry Conille)首相はこの疑惑に関するコメントを出していない。同評議会は9人の委員で構成される。

AP通信は政府高官の話しとして、「コニーユ首相は評議会のルブラン・フィス(Edgard Leblanc Fils)議長とこの問題について協議する意向を示している」と報じた。

同評議会が3人に対して何らかの処分を下すかどうかは明らかなっていない。

反汚職機関が公務員の汚職を取り締まっているにもかかわらず、ハイチでは不処罰が蔓延している。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

首都ポルトープランスでは1年半ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

国連によると、今年1~5月までに全土で殺害された市民は3200人以上。この1年半で50万人以上が住居を失ったと推定されている。4~6月末の間に死傷した市民は約1400人。さらに428人が誘拐され、行方不明になっている。

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