ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
2021年10月22日/ハイチ、首都ポルトープランス、ギャンググループ「G9&Family」の構成員(Getty Images)

ギャングの暴力に見舞われ内戦状態にあるハイチで殺人事件と誘拐が急増している。地元の人権団体が13日、明らかにした。

首都ポルトープランスに拠点を置く人権団体RNDDH(Réseau National de Défense de Droits Humains)は13日に公表したレポートの中で、政府の無策を厳しく非難した。

それによると、5月1日~7月12日の間に少なくとも75人がギャングの暴力に巻き込まれて殺害され、40人が拉致されたという。

殺害された人の中には小学生、弁護士、警察官が含まれている。

地方自治体の関係者や女性ジャーナリストが誘拐され、今も行方不明である。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは半年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。国連はこの争いで民間人数百人が死亡または行方不明となり、数十万人が国外に逃亡したと推定している。

ギャングはポルトープランス北部のコミュニティーにある病院に押し入り、医療品を盗み、警備員少なくとも6人を誘拐したとされる。

さらにギャングは先月、ポルトープランスの在ジャマイカ領事館に火を放った。

国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は今月、武装した20人ほどの男が病院に手術室に乱入し、患者を拉致したと明らかにした。

RNDDHは今年初め、ギャングによる誘拐や殺人の件数は減少傾向にあると報告していた。

RNDDHは政府に対し、すべての武装ギャングを解散させ、秩序と治安を回復するよう求めた。

しかし、国家警察は深刻な資金・人材不足に直面し、ギャングの暴力に圧倒されているように見える。同国の人口は約1100万人だが、現役警察官は9000人ほどしかいない。

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