◎ギャングとみられる男たちは遺体に火を放った。
2021年11月11日/ハイチ、首都ポルトープランス(Getty Images)

ハイチのジャーナリスト協会は13日、首都ポルトープランスのスラム街で取材を行っていたジャーナリスト2人が何者かに射殺されたと発表した。

同協会によると、ギャングとみられる男たちは遺体に火を放ったという。ハイチで記者が殺害されたのは今年2例目。

この2人は17歳の少女が殺害された事件を調べていた。同協会によると、殺害された2人と一緒に行動していた記者5人は間一髪逃げることができたという。

同協会はウェブサイトで2人の氏名を公表し、情報を求めている。

2人はこの地域で縄張り争いをしている2つのギャングのどちらかに殺害されたとみられる。2人の遺体は回収さえていない。同協会は警察に通報したが、ポルトープランスのスラム街はギャングに支配されているため、遺体の回収は難しいようだ。

同協会は2人への攻撃を「極悪非道」と糾弾し、政府にギャングを掃討するよう呼びかけている。

ハイチの治安は昨年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺事件と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは2カ月ほど前から「G9&Family」と「G-Pep」と呼ばれる2つのギャングが地域の支配権をめぐって激しい戦闘を繰り広げており、国連によると、7月中旬以降の死者、負傷者、行方不明者は確認できているだけで500人を超え、数千人が国内避難民になった。

経済状況も悪化の一途をたどっており、米国から輸入される日用品の価格はこの数カ月で4倍以上に値上がりし、ガソリンの入手は困難になった。

ジャーナリスト協会は声明の中で、「記者はいかなる犯罪にも関与していない」と述べ、ギャングを非難した。

また同協会は政府も強く非難した。「この殺人事件は政府が国民の生命と財産を守れていないことを証明しています。人権侵害以外の何物でもない」

米フロリダ州マイアミに本拠を置く米報道協会(APA)は13日、当局に殺人犯を見つけるよう促し、「ハイチのメディアに対する攻撃は1987年の集計開始以来、最も深刻な状況にある」と警告した。

APAは声明の中で、「ハイチのジャーナリストは極めて危険な状況下で仕事を行っている」と指摘している。

アンリ(Ariel Henry)首相も記者2人の殺害を糾弾。「この野蛮な攻撃を強く非難し、犠牲者とその家族に哀悼の意を表す」とツイートした。

今年1月にはポルトープランス南部の紛争地域で記者2人がギャングの殺害された。

2018年3月にポルトープランスの貧困街で姿を消したフリーランスカメラマンの行方は今も分かっていない。

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