▽ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
中米ハイチ・ポルトープランスの総合病院内でギャングとみられる武装集団が発砲し、3人が死亡した事件について、現地メディアは26日、保健相が解任されたと明らかにした。
AP通信は政府高官の話しとして、「保健相が解任され、後任が決まるまでの間、法務相が兼任する」と伝えている。
地元ラジオ局によると、この国立病院は24日に患者の受け入れを再開。保健相がジャーナリストを招き、記者会見を開く予定だったという。
しかし、保健相は現れず、武装集団が病院を襲撃。院内で銃を乱射し、ジャーナリスト2人と警察官1人が死亡、ジャーナリスト7人を含む10数人が負傷した。
生存した地元テレビ局のカメラマンはAPの取材に対し、「ジャーナリストたちは保健省から病院に招待されていた」と語った。
それによると、院内に警察官はほとんどおらず、事件後、国家警察に確認したところ、保健相がジャーナリストを招いたことを知らなかったという。
保健相が病院を訪れなかった理由は不明。大統領評議会はコメントを出していない。
事件後、ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合Viv Ansanmがソーシャルメディアに犯行声明を投稿。「政府が許可なく病院を再開したので攻撃した」と主張した。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは2年以上前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。
ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は10月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元のギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
国連ハイチ事務所は今週初めに公表したレポートの中で、「12月6~11日の間に少なくとも207人がポルトープランスのスラム街に拠点を置くギャングによって殺害もしくは処刑された」と明らかにした。