◎ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ハイチ、首都ポルトープランス(Odelyn Joseph/AP通信)

ハイチ国家警察が暫定評議会の発足式典に合わせて、首都ポルトープランス中心部の警備強化を進めている。

AP通信は23日、政府関係者の話しとして、「式典は24日に行われる予定だが、ギャングの暴力がエスカレートするような事態になれば、中止もあり得る」と報じた。

地元メディアによると、国会前の広場と周辺の通りにはカナダ政府などが供与した装甲車が多数配備されたという。

7つの政党と民間の2団体の代表が委員を務める暫定評議会は2週間前に発足。議決権を有するのは7党の代表のみである。

暫定評議会は近日中にアンリ(Ariel Henry)首相の後任を任命するとみられる。

APによると、9人の委員は24日の式典で宣誓する予定だ。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、空港、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

一部のギャングは暫定評議会の式典を妨害すると宣言し、警察署などを攻撃している。地元メディアによると、国会近くのダウンタウンでは連日銃撃戦が発生しているという。

国連のハイチ特使であるサルバドール(María Isabel Salvador)氏は22日、安全保障理事会の演説で、「安保理の優先事項にハイチの安全保障計画を含めるべきだ」と訴えた。

またサルバドール氏は「ギャングのリーダーやその他の妨害勢力は暫定評議会の発足を暴力で混乱させようとしている」と非難。「ハイチの治安を回復させる我々の努力はまだまだ足りない」と述べた。

国連の統計によると、今年1~3月の間にギャング間抗争に巻き込まれて死亡した市民は2500人を超えたという。被害の全容は明らかになっていない。

ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。

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