ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。
2024年12月24日/ハイチ、首都ポルトープランスの病院、ギャングに撃たれた人々(AP通信)

中米ハイチ・ポルトープランスの総合病院内でギャングとみられる集団が発砲し、取材中のジャーナリストを含む複数人が負傷した。現地メディアが24日に報じた。

それによると、この総合病院は24日に患者の受け入れを再開したという。発砲した容疑者が捕まったかどうかや、死傷者の数は分かっていない。

大統領評議会は声明でこの事件に言及。ジャーナリストや警察官らが撃たれたと述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。

また同評議会は「犠牲となった人々、国家警察、ジャーナリストに哀悼の意を表する」と述べ、この事件に関与したギャングまたは個人を罰すると約束した。

ソーシャルメディアで共有された動画にはストレッチャーに乗せられた男性2人の遺体が映っていた。そのうちの1人は取材許可証のようなものを身に着けていた。

地元ラジオ局は関係者の話しとして、「ジャーナリスト7人と警察官2人が負傷した」と報じた。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは2年以上前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は10月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

国連ハイチ事務所は23日に公表したレポートの中で、「12月6~11日の間に少なくとも207人がポルトープランスのスラム街に拠点を置くギャングによって殺害もしくは処刑された」と明らかにした。

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