◎ハイチの市民はここ数十年で最悪の人権・人道的危機に直面し、苦しみ続けている。
2023年4月24日/ハイチ、首都ポルトープランス、ギャングの構成員とされる13人の焼死体と野次馬(Odelyn Joseph/AP通信)

ハイチの地元当局は24日、首都ポルトープランスでギャングとみられる13人が怒れる群衆に焼き殺されたと明らかにした。

AP通信は目撃者の話しとして、「暴徒たちはギャングの構成員とみられる男たちを取り押さえ、殴り、ガソリンをかけ、焼き殺した」と報じている。

ポルトープランス警察は声明で、「ギャングとみられる男たちから銃器を押収した」と述べているが、13人が暴徒の手に渡った経緯は説明していない。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは半年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げており、国連はこの争いで民間人数百人が死亡または行方不明となり、数十万人が国外に逃亡したと推定している。

国連が24日に公表したレポートによると、ポルトープランスの治安は戦時中の国と同レベルまで悪化しているという。

国連はレポートの中で、「武装した複数のギャングが領土を拡大するために争っており、警察や対立するギャングとの衝突がより暴力的に、より過激になり、多くの市民の命を奪っている」と強調した。

国連の統計によると、4月14~19日の間にギャングの抗争に巻き込まれて死亡した市民は確認できているだけで70人に達したという。そのうち2人は子供、18人は女性だった。

市内の学校や保健所は閉鎖を余儀なくされ、人道支援物資の配給にも影響が出ている。

国連は「ハイチの市民はここ数十年で最悪の人権・人道的危機に直面し、苦しみ続けている」と述べ、国際社会に行動を呼びかけた。

アンリ(Ariel Henry)首相は昨年10月、国連安保理に平和維持軍の派遣を要請したが、安保理はこの要請に応じず、ギャングへの制裁で対応している。

国連はポルトープランスとその周辺地域の8割がギャングの支配下に置かれたと推定している。国家警察は占領地の奪還を目指しているが、ギャングの勢いに圧倒されているように見える。

アンリ氏と国連は国家警察を支援するために、国連PKO部隊の派遣を繰り返し要請してきた。

しかし、今のところPKO部隊を率いると申し出た国はない。米政府はカナダにその役割を引き受けるよう要請しているが、トルドー(Justin Trudeau)首相はこれに反発している。

アンリ氏は米国とカナダにPKO部隊を率いてほしいと提案している。

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