◎ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。
2024年4月11日/ハイチ、首都ポルトープランスの住宅地、路上に放置された遺体(AP通信)

ギャングの支配下に置かれる中米ハイチの首都ポルトープランスで身元不明の兵士、80歳の男性、7歳の少年を含む数十人が処刑された。現地メディアが11日に報じた。

AP通信によると、地元メディアのカメラマンや小さな商店を営む夫婦も何者かに首を切り落とされたという。

ポルトープランスに拠点を置く人権団体は声明で、「今年はひどい。ひどすぎる」と語った。

同団体を含む複数のNGOや政府系機関が殺人事件に関与したギャングを追跡している。しかし、国家警察は機能不全に陥っており、捜査が進む目途は全く立っていない。

スラム街の路上には遺体が多数放置され、白骨化しているものも珍しくない。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、空港、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

国連によると、今年1月~3月22日の間に殺害された市民は確認できているだけで1550人を超えたという。

国連は10日に公表したレポートの中で、「公共交通機関の職員7人、ポルトープランスと中部地方を結ぶバスに乗っていた乗客9人、陸軍の軍曹を含む数十人がこの数週間で流れ弾に当たり死亡した」と報告している。

さらに7歳の少年、女子校の責任者、28歳のバスケットボール選手、政府系機関の会計主任、スポーツ記者などが鋭利な刃物で切り殺されたり、流れ弾に当たって死亡したとされる。

国連によると、ギャングは敵対勢力の支配下で生活していた市民の家に火を放ち、数十人を焼き殺したとみられる。

その結果、わずか数日で約1万7000人がホームレスとなり、その多くが国連の難民キャンプに身を寄せている。

ハイチはここ数十年の慢性的な政情不安、独裁政権、自然災害などにより、アメリカ大陸で最も貧しい国のひとつとなっている。2010年の大地震では20万人以上が死亡、その復興が進まぬ中、21年に地震が発生した。

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